連邦最高裁批判を、現職でもない元大統領がSNSに投稿した。しかも判事の「投票行動」を名指しして。これがどれだけ異例なことか、少し掘り下げてみた。
「民主党判事は一致団結」——トランプ発言の中身
トランプ前大統領がTruth Socialに投稿したのは、こんな一言だった。
「民主党はなぜ連邦最高裁の投票結果を気に入らないのか。民主党系判事は一致団結して行動している」
現在の連邦最高裁は保守派6、リベラル派3という構成で、大きな案件では保守寄りの判決が相次いでいる。にもかかわらず、トランプ氏がリベラル系判事の「結束」を問題視した。逆説的に聞こえるが、見方を変えると、今後の特定案件に向けた先手の圧力とも読める。
アメリカの三権分立において、大統領経験者が現職判事の投票行動を公に批判するケースは極めて稀だ。過去にFDRが最高裁の構成を変えようとした「コート・パッキング」計画が大批判を浴びたのは1937年のこと。それに近い緊張感を、今回の発言は帯びている。
保守派6対3でも足りない? 透けて見える狙い
ここで引っかかるのは、「なぜ今か」という点だった。
保守優位の構成になってから数年、最高裁はすでに中絶権廃止や銃規制緩和など、保守派の悲願だった判決を連発してきた。それでもトランプ氏がリベラル判事を標的にした背景には、自身に関わる司法案件の行方があるらしい。トランプ司法介入とも呼ばれる一連の言動は、来たる重大判決に向けた世論づくりの側面があるんじゃないか、という見方も出ている。
司法の独立性は、批判されたから即座に崩れるものじゃない。ただ、「大統領経験者が特定判事の行動を繰り返し攻撃する」という前例が積み上がれば、判事へのプレッシャーが常態化するリスクがある。それが静かに効いてくる、という懸念を複数の憲法学者が口にし始めている。
この先どうなる
最高裁は今後、移民政策や大統領免責特権にかかわる案件を複数抱えている。トランプ氏の投稿タイミングと照らすと、これらの判決前に「リベラル判事批判」の空気を高めておく意図が見え隠れする。
司法への公開圧力が今後も続くなら、最高裁側が何らかの声明で応じるか、議会での司法改革論議が再燃するか——どちらに転んでも、2025年の米国政治の火種になりそうだ。