コートパッキング、つまり連邦最高裁の判事定数を増やす案が、また浮上してきた。今回それを推したのは民主党の重鎮ストラテジスト、ジェームズ・カービル。しかもセットで「ワシントンD.C.とプエルトリコの州昇格」まで並べてきた。二枚同時に切る、という提言だ。

上院4議席+最高裁——カービルが描く「二段改造」の中身

D.C.とプエルトリコが州になれば、上院議員はそれぞれ2名ずつ、計4名が新たに加わる。両地域とも民主党寄りの有権者が多いとみられており、仮にこれが実現すれば、共和党が構造的に優位を保いてきた上院の勢力図がひっくり返りかねない。

さらに最高裁の増員が加われば、現在の保守派6・リベラル派3という構成を塗り替えられる。バイデン政権時代にも議論には上がったものの、党内からも慎重論が出て立ち消えになった経緯がある。カービルはそこに再び火をつけた格好だ。

トランプはこの動きをTruth Socialに投稿し、カービルを「頭のおかしい」と形容しながら批判した。

「頭のおかしい」ジェームズ・カービル——いわゆる民主党の「戦略家」——は、民主党にD.C.とプエルトリコを州に昇格させ、最高裁を増員させたいと考えている。(Donald J. Trump / Truth Social)

トランプにとってこれは批判材料でもあり、支持層への警戒喚起でもある。「見ろ、あいつらはここまでやろうとしている」というメッセージとして機能している投稿だった。

プエルトリコ州昇格が「理想論」で終わらなくなってきた理由

プエルトリコの州昇格は、数十年来の懸案だ。島内では複数回の住民投票が行われ、近年は州昇格支持が多数を占めた結果も出ている。ただし連邦議会での実現には上下両院の承認が必要で、共和党が主導権を持つ今の議会では動く余地はほぼない。

それでも「提言が出た」という事実は重い。民主党が次に多数を握ったとき、どこまでやるつもりなのかを示す地図として機能するからだ。プエルトリコ州昇格とコートパッキングを同時に実行すれば、立法・司法の両面を一気に塗り替えるシナリオになる。単なる党略というより、制度設計そのものへの介入だという見方も出てきている。

この先どうなる

直近で動く話ではない。共和党が上下両院を押さえている現状では、D.C.・プエルトリコ州昇格もコートパッキングも法案の入口にすら立てない。ただ2026年の中間選挙、2028年の大統領選に向けて、民主党がどんな「約束」を掲げるかの布石として、カービルの提言は残り続けるだろう。最高裁の増員案は一度議題に乗ると、そう簡単に降りない——バイデン時代の経験がそれを証明している。次に政権が変わったとき、この提言が再び「現実的な選択肢」として机に戻ってくる可能性は、ゼロじゃない。