ホルムズ海峡封鎖が、新たな局面に入った。停戦は辛くも生き延びたが、弾の代わりに船が奪われている。米国とイランがそれぞれ相手の商船を拿捕し合う「封鎖の応酬」——世界の石油輸送量の約20%が通過するこの海峡で、いま起きていることだ。

イランが2隻拿捕、米国も応酬——ホルムズで何が起きたか

イランは今週、ホルムズ海峡を航行中の商船2隻を拿捕したと発表した。米国側もこれに対抗する形で船舶の拿捕に動いており、軍事的な直接衝突ではなく「海上封鎖」という形の緊張がじわじわと広がっている。

BBCの外交担当記者ポール・アダムスはイスラマバードから現地報告を送っており、その論調は慎重というより率直だった。

「ホルムズ海峡の空気は一触即発だ。事態が制御不能に陥るリスクに賭けるのは賢明ではない」

原油価格への影響を市場が注視する中、この海峡が「使えなくなる」シナリオは、もはや絵空事ではなくなってきた。

イスラマバードのホテルは今夜も空っぽ

一方、外交の舞台として期待されていたパキスタンの首都イスラマバードでは、奇妙な光景が続いていた。シャリフ首相が米・イラン両国の代表団を招いた和平交渉のため、会場となるホテルを確保し、市内の一部を封鎖し、プレス対応まで整えていた。週初めには近隣の軍用飛行場に巨大なC-17輸送機が着陸し、「いよいよ動くか」という雰囲気が一時高まったほどだった。

だが代表団は来なかった。ホテルは今夜も空のまま、サインだけが残っている。BBCによれば、「ワシントンのプレスプールが空港へ向かうよう指示されるとの話も、輸送機の中身をめぐる憶測も、今や消え去った」らしい。

パキスタン仲介外交が国際舞台での存在感を示す絶好の機会だったのは間違いない。それが「するりと逃れてしまった」という暗澹たる空気が、今のイスラマバードには漂っている。シャリフ首相は諦めていないとされるが、交渉の気配は薄れつつある。

この先どうなる

米イラン双方が船舶の拿捕を続ける限り、ホルムズ海峡の緊張は下がりにくい。停戦の期限延長がトランプ氏のSNS投稿一本で決まるような不安定な状況では、次の火種がいつ点くかも読めない。パキスタンの仲介外交が息を吹き返すかどうかは、まず両国が交渉のテーブルに着く意思を示せるか次第だ。「空のホテル」がいつ埋まるか——それがこの地域の行方を映す、意外なバロメーターになっている。