イラン停戦交渉の期限まで、残り2週間を切った。4月21日、アジア株式市場は一斉に上昇し、原油価格は下落した。「外交が動いている」という空気が市場を動かしたわけだが、その空気に最初に穴を開けたのがトランプ大統領本人だったのは、なんとも皮肉な話らしい。

トランプが「2週間で決まらなければ延長しない」と断言した日

ブルームバーグがトランプ大統領に独自インタビューを行ったのは現地時間の月曜朝。そこで飛び出した言葉が市場の空気を一変させた。

「期限内に合意に達しなければ、イランとの2週間の停戦を延長する可能性は極めて低い。悪い合意を急いで結ぶつもりはない」(トランプ大統領、Bloombergより)

交渉の窓は開いている。ただしその幅は、日ごとに狭まっている——そう読んだほうがいいだろう。楽観シナリオと悲観シナリオが同時に存在する状態で、市場だけが先に「外交成功」を織り込みに行った格好だ。

原油価格が示す「ホルムズ海峡シナリオ」の重さ

原油価格の動きは、いつも正直だと思う。今回の下落は、中東の地政学リスクが後退するなら原油供給が安定するという期待の表れだった。エネルギーコストが下がれば、製造業から物流まで広くコスト圧力が和らぐ。世界経済にとって、それは悪くない話だ。

ただし、逆回転のシナリオも同じくらいリアルに存在する。イランとの交渉が破綻すれば、ホルムズ海峡リスクが一気に再燃する可能性がある。世界の原油輸送量の約2割が通過するこの海峡が緊張状態に入れば、原油価格急騰と株安が同時に来る。トランプ外交期限という言葉が、今週ほど重く響く週はないかもしれない。

原油価格と地政学リスクは、常にセットで動く。今の落ち着きが「外交の成功を先取りしたもの」なのか、「リスクを過小評価したもの」なのか、それが問われるのはこの2週間以内だ。

この先どうなる

市場は今、砂時計を凝視している状態だといっていい。期限内に合意の輪郭が見えてくれば、株高・原油安の流れは続くだろう。だが「悪い合意は拒否する」というトランプの姿勢が本気なら、交渉は最終盤まで決着がつかない可能性もある。イラン側の出方、核問題での譲歩幅、そしてトランプが「良い合意」と判断する条件——これらが出そろわない限り、楽観論は一瞬で剥がれる。2週間後のニュースが、今日の株価を正解にするか不正解にするか。その答えが出るまで、目を離さないほうがいい。