トランプとイラン交渉——その言葉がSNSに突然現れたのは、ホルムズ海峡をめぐる緊張が続く最中だった。トランプ前大統領がTruth Socialに投稿したのは、イランの指導者たちへの直接メッセージ。「まもなく私の代理人があなたたちと交渉する」という、事実上の外交予告だった。

トランプの「代理人」とは何者か――SNS投稿が外交になる日

今回の投稿で引っかかったのは、「代理人(my representatives)」という表現だ。誰が、どんな権限を持って、どのルートでイランにアクセスするのか——そこは一切明かされていない。

トランプは現時点では大統領に返り咲いており、米政府のトップとして動いている。それでも今回の投稿は公式の外交声明とは異なるチャンネルで発信された形になっている。これは「俺が直接動く」という意志表示であり、国務省や外交ルートを経由しない交渉が並行して進む可能性を示唆している。

「まもなく私の代理人と交渉を行うことになるイランの指導者たちへ:私はぜひ……」——Donald J. Trump(Truth Social)

この文面、途中で切れているのも気になる。「私はぜひ……」の続きが公開されていないとすれば、意図的なのか、それとも情報の一部が漏れただけなのか。いずれにせよ、読んだイラン側が無視できる内容ではなかったはずだ。

ホルムズ海峡という「交渉カード」――イランが持つ最後の切り札

なぜ今、このタイミングで代理人外交の話が出てきたのか。背景にあるのはホルムズ海峡の緊張だ。世界の石油輸送量の約20%が通過するこの海域では、イラン革命防衛隊(IRGC)による船舶拘束が繰り返されてきた。

イスラエルとイランの直接衝突が現実味を帯び、中東全域に軍事的圧力がかかるいま、イランは経済制裁と軍事包囲のダブルプレッシャー下にある。一方で「ホルムズを閉じる」という脅しは世界経済へのカードであり、それがある限りイランは交渉の席に着く価値がある——トランプ側のそんな計算が見え隠れする。

代理人外交という手法は、イランとの直接対話が国内政治的に難しい場面でも使われてきた手法だ。オバマ政権時代の核合意も、水面下での間接接触が先行していた。トランプが同じ手を使うとすれば、それはそれで皮肉な話ではある。

この先どうなる

代理人が実際に動けば、次に注目すべきはイラン側の反応だ。強硬派が「交渉拒否」を叫ぶのか、それとも経済的に追い詰められた現状から実務者レベルの接触が始まるのか。どちらに転んでも、中東の温度は数週間で大きく変わる可能性がある。

ただし、SNS投稿が外交の起点になる時代に慣れてはいけない、という気持ちもある。今回の「予告」が本当に交渉につながるのか、それとも圧力のための演出で終わるのか——次の一手が出るまで、判断は保留しておくのが賢明だろう。