EU パレスチナ和平会議が幕を開けた月曜日、ブリュッセルの外交関係者が注目したのは「誰が来たか」ではなく「誰が来なかったか」だった。数十カ国が集まったこの会議、肝心のイスラエルは欠席している。

トランプの「ガザ接収」構想に、EUが数十カ国を集めて異議申し立て

今年に入り、トランプ政権はガザの管理権を米国が主導する形で再編する構想を打ち上げた。いわゆる「ガザ接収」とも呼ばれるこのプランは、パレスチナ住民の移送を含む過激な内容で、欧州各国から強い反発を招いた。

EUが今回の会議を単独で主催したのは、その文脈から切り離せない。中東外交において欧州は長年、米国やサウジアラビア、エジプトといった地域大国の後ろに控える存在だった。それが今、ウクライナ問題での結束を足場に、もう一つの仲介者ポジションを狙い始めたらしい。

「EUは月曜日、中東外交での影響力拡大を目指し、パレスチナ和平会議を主催した。数十カ国が参加し、ガザの将来とパレスチナ国家について協議した。」(AP通信)

参加国はパレスチナ国家樹立への支持を改めて確認したとみられる。ただ、議題の中心はその先にある「ガザ戦後統治をどう組み立てるか」という、より具体的で難しい問いだった。

イスラエル不在で「絵に描いた餅」になるリスク

ここで引っかかるのが、イスラエルの不参加だ。ガザ和平の当事者が座っていないテーブルで何かを決めても、実際の停戦や統治に直結させるのは難しい。中東外交の経験者が「欧州はいつもこれをやる」と苦笑いするパターンに入っている可能性もある。

もちろん、EUにも計算はある。国際社会がパレスチナ国家樹立への圧力を積み上げ続けることで、将来の交渉において「既成事実」を作るという戦略だ。承認国を増やし続けることで、米国が何を言おうと覆しにくい国際的な合意形成を目指している。ガザ戦後統治の議論がどう着地するかは、その蓄積次第という側面もある。

中東外交 欧州という文脈で見れば、EUの外交的存在感が本当に高まっているのか、それとも「参加国だけ多い空振り会議」で終わるのかは、今後6か月の動向が試金石になりそうだ。

この先どうなる

最大の分岐点は、イスラエルをいつ・どんな形でテーブルに引き込めるかにある。EUはガザへの人道支援で最大の拠出者の一つであり、その財布の力を外交圧力に転換できるかが問われる。トランプ政権が強引な中東再編を進めれば進めるほど、EUへの「対抗軸待ち」需要は高まる。ただ、EU内部でもハンガリーなどイスラエル寄りの国との温度差は消えていない。会議の「熱量」が実際の政策変化につながるには、もう一段の外交的な仕掛けが要るんじゃないか、というのが正直な見立てだ。