原油価格急騰が一日で約4%——その数字が示すのは、単なる市場の揺れじゃなく、世界のエネルギー地図が塗り替わるかもしれないという恐怖だ。イスラエルの軍事行動がガザを超え、周辺産油国へ波及するリスクが現実味を帯びたことで、投資家たちはいっせいに「供給が止まる未来」を織り込み始めた。

世界の石油の20%が通る「あの海峡」に、また視線が集まっている

気になって調べると、ホルムズ海峡は世界の海上石油輸送量の約20%が通過するルートだった。イランはこれまで何度も「封鎖できる」と示唆してきた。今回の中東情勢緊迫化で、その脅しが再び現実の選択肢として浮上している。

ここが引っかかったのだが、今のところ実際に封鎖が起きたわけではない。それでも価格が4%動いたということは、市場は「起きてからでは遅い」と判断している。先手を打って買う動きが価格を押し上げた、というのが実態らしい。

「イスラエル軍によるガザへの軍事攻撃が中東全域への紛争拡大への懸念を高め、原油価格は木曜日に約4%急騰した。同地域からの石油供給が途絶するリスクが意識された。」(Reuters)

供給リスクの「意識」だけでこれだけ動く。実際に何かが起きたら、という想像は少し怖い。

日本のガソリン代が、砂漠の戦火と連動している理由

日本の中東産原油への依存度は輸入量の約90%に達する。つまり中東情勢緊迫化のたびに、私たちのガソリン代、電気代、さらには輸送コストが上がりやすい構図になっている。食料品の価格だって運送費が乗る以上、無縁とは言えない。

エネルギーコストが上がりながら景気が冷える——いわゆるスタグフレーションのシナリオがちらつくのも、こういう背景があるからだ。2022年のロシア・ウクライナ戦争の時も、原油と天然ガスの高騰が世界的なインフレの引き金の一つになったのを覚えている人も多いんじゃないか。

今回の4%急騰がそこまで発展するかどうかは、まだわからない。ただ市場はすでに「最悪ケース」を計算に入れながら動いている。

この先どうなる

焦点は二つ。一つはイスラエルの軍事行動がイランを直接巻き込む展開になるかどうか。イランが関与を深めれば、ホルムズ海峡封鎖リスクは一気に現実味を増す。もう一つは、OPECプラス諸国が増産などで市場を落ち着かせる動きに出るかどうかだ。サウジアラビアをはじめとする産油国の判断が、価格の次の方向を決める可能性がある。原油価格急騰が一時的な反応で終わるのか、それとも長期トレンドの起点になるのか——答えが出るのは、おそらく今後数週間以内だ。