アジア太平洋のエネルギー危機が、想定より早いペースで日常生活に食い込んできた。ニューヨーク・タイムズが現地取材をもとに報じた内容によれば、イランの戦火が中東を超えて波及し、石油の輸送動脈が目詰まりを起こした結果、日本・韓国・東南アジア各国で燃料不足と物価急騰が同時進行しているという。

日本の石油輸入「9割」が通るルートで何が起きているか

日本のエネルギー輸入の約9割は中東経由。その多くはホルムズ海峡を抜けてタンカーで運ばれてくる。この海峡が不安定化すると、工場の稼働ラインが止まり、トラックの燃料費が上がり、スーパーの棚の値札が書き換えられる——という連鎖が始まる。今まさにそのルートが揺れているらしい。

韓国も状況は似たようなもので、エネルギー輸入の中東依存度は日本と並んで高い。東南アジア各国ではもともと燃料補助金で価格を抑えていた国が多く、輸入コストが跳ね上がると財政への圧迫と市民生活へのダメージが直結する構図になっている。

「アジア太平洋地域はイランの戦争とエネルギーの目詰まりによって早急かつ深刻な打撃を受けた。現地の危機的状況は、問題が増殖し拡散していることを示している。」(ニューヨーク・タイムズ)

「増殖し拡散している」という言い方が引っかかった。単発の価格高騰ではなく、連鎖反応として広がっているという見立てだろう。イラン戦争 石油供給の問題は、もはや産油国の話として切り離せない段階に入ってきた。

「遠い中東の話」が終わった瞬間

エネルギー輸入を特定地域に集中させるリスクは以前から指摘されてきたが、対策が進んだとは言いにくい。LNG(液化天然ガス)の調達先を多角化しようとしても、インフラ整備には時間がかかる。再生可能エネルギーへの移行は長期プロジェクトで、今月・来月の燃料不足には間に合わない。

ホルムズ海峡 日本 影響という視点で見ると、これは「もしそうなったら」の仮定の話ではなく、現在進行形のリスク管理の問題になってきた。企業の調達部門や物流会社はすでにシナリオプランニングを走らせているはずで、その判断が経済統計に出てくるのは数週間後、あるいは数ヶ月後かもしれない。

値上がりが「中東情勢のせい」として消費者に説明される場面が増えるとしたら、それはもうアジア太平洋全体が同じ震源地に揺さぶられているってことだろう。

この先どうなる

イランの戦況が落ち着きを見せない限り、タンカー保険料の上昇と輸送コストの高止まりは続くとみられる。日本政府は備蓄放出などの緊急措置を検討する局面に入る可能性があるし、韓国・東南アジア各国も独自の対応を迫られるだろう。中東情勢が長期化すれば、エネルギー輸入の多角化を急ぐ動きが各国で加速する。ただ、それが実を結ぶまでの「空白期間」に物価や産業がどれだけ耐えられるか——そこが当面の焦点になりそうだ。