ホルムズ海峡で発砲があったとすれば、世界の石油タンカーの約20%が通る水道が、いま最も危険な場所になりつつある。トランプ前大統領が2025年、自身のSNS「Truth Social」に投稿した一文が、進行中の米イラン協議を根底から揺さぶっている。第三者機関の現場確認はまだない——それでも市場は反応し、外交筋は静まり返った。

トランプ投稿の中身と、外交交渉への直撃

問題の投稿はこうだった。

「イランは昨日、ホルムズ海峡で発砲した。これは我々の停戦の完全な違反だ」

米イラン停戦交渉は、2025年春から断続的に続いていた。核開発制限と経済制裁の緩和を巡る第2回協議の日程は、この投稿を受けて事実上、白紙に戻りつつあるらしい。協議に近い筋によれば、双方の交渉チームは連絡を「一時保留」状態に入ったとされる。

ただ、ここが引っかかった。現時点でホルムズ海峡における発砲を独立して確認した機関はない。米海軍第5艦隊からの公式声明も、報道時点では出ていなかった。トランプ氏個人のSNS投稿が、検証前に外交的な爆弾として機能してしまっている構図だ。

ホルムズ海峡が「封鎖リスク」に変わる日

ホルムズ海峡はイランとオマーンに挟まれた幅約40kmの水道で、サウジアラビア・UAE・クウェートの原油輸出ルートが集中している。ここで武力衝突が起きれば、原油価格は即座に跳ね上がり、日本・韓国・中国といったアジアの輸入国が真っ先に打撃を受ける。欧州にとっても、ようやく落ち着きを見せていたインフレが再燃しかねない。

トランプ氏のイラン政策は「圧力で譲歩を引き出す」路線が基本だった。今回の投稿も、交渉テーブルを有利に動かすための言葉だった可能性はある。ただ、言葉がそのまま市場と現場の緊張を動かしてしまうのが、2025年の情報環境の怖いところだ。

この先どうなる

最も注目すべきは、米海軍や国際機関がこの「発砲」を確認するかどうかだろう。確認されれば米イラン停戦交渉は完全凍結、原油先物市場は急騰シナリオに入る。一方で確認されなければ、トランプ氏の投稿は「外交的な揺さぶり」として処理され、協議は細々と続くかもしれない。どちらに転んでも、ホルムズ海峡を巡る緊張が当面続くのは間違いなさそうだ。次の72時間、米海軍の公式声明とイラン外務省の反応が分岐点になる。