米中首脳会談が、突然「秒読み」に入った——トランプ元大統領が自身のSNS「Truth Social」に投稿した一文が、外交観測筋を揺さぶっている。内容は短い。習近平国家主席がホルムズ海峡の開放状況に「非常に満足している」と明かしたうえ、「私たちの会談は…」と続けた。日程や議題は伏せたまま、しかし会談が近いことをにおわせる書き方だった。
ホルムズ海峡は中国にとって「呼吸管」——そこを握ったトランプの計算
ホルムズ海峡は世界の原油輸送量の約20%が通過する、言わば地球の血管の一本。中国はその最大の「依存者」で、輸入原油の相当割合がこのルートを通る。イランと湾岸諸国がにらみ合い、海峡が封鎖リスクにさらされれば、真っ先に悲鳴を上げるのは北京のエネルギー計画だ。
今回のイスラエル・イラン間の緊張緩和の流れの中で、ホルムズ海峡が「急速に開放されつつある」とトランプが表現した背景には、イランへの圧力が一定の成果を出したという自己評価がある。そして習近平が「満足」と反応したなら、北京はその恩恵を十分に認識している——ということになる。
「習近平国家主席は、ホルムズ海峡が開放されている、もしくは急速に開放されつつあることを非常に喜んでいる。私たちの会談は…」——Donald J. Trump(Truth Social、2025年)
ここで引っかかったのは、トランプがわざわざSNSで「習近平が喜んでいる」と公開した点。外交的な取引を進める際にこうした発信をするのは、国内向けの「成果見せ」と、北京への「俺はちゃんと評価を公言したぞ」という無言のメッセージを同時に送る手法で、トランプが過去にも使ってきたパターンに近い。
米中会談が実現すれば、イランと台湾が同じ交渉テーブルに上がる
仮に米中首脳会談が近く実現するなら、議題はホルムズ海峡の安定にとどまらない可能性が高い。貿易関税の攻防、台湾をめぐる軍事的緊張、そしてウクライナ戦争での中国の役割——どれも「棚上げ」できないファイルが積み上がっている。
ホルムズ海峡の開放というエネルギー問題が、一種の「入口」として機能し、より広い米中対話の扉を開く呼び水になるシナリオを、ワシントンのアナリストたちはすでに読み始めているらしい。トランプ側にしてみれば、対中強硬イメージを保ちながら「俺が会談をセットした」という実績も取れる。なかなか都合のいい構図ではある。
この先どうなる
最大の焦点は、米中首脳会談がいつ・どこで・何を議題に開かれるかだ。トランプが日程を公表しない間は、「会談カード」を最大限に引き伸ばして外交圧力として使い続けるとみていい。中国側も早々に詳細を公開するインセンティブは薄い。当面は双方が「会談がある」という曖昧な状態を維持しながら、内部の条件調整を進める展開になりそう。ホルムズ海峡の情勢が再び悪化するか、米中間で何らかの摩擦が生じれば、この「会談ムード」は一夜にして消えることもある。引き続き、トランプのSNS投稿が最も早い速報源になるのはしばらく変わらないだろう。