UNIFILフランス兵殺害——停戦が発効してから24時間も経っていなかった。4月16日、イスラエルとレバノンの10日間停戦が始まった翌日、南レバノンの村ガンドゥリーヤで国連暫定軍の仏兵パトロール隊が小火器で待ち伏せされた。兵士1名が即死、3名が負傷し、うち2名は重体。停戦を「国際社会が監視する」と言っていたはずの、その直後の出来事だった。
マクロンが名指し断罪、ヒズボラは「無関係」と押し返す
フランスのマクロン大統領はすぐに声明を出した。
「この攻撃の責任はヒズボラにあることをすべてが示している。フランスはレバノン当局に対し、実行犯を直ちに逮捕し、UNIFILとともにその責務を果たすよう求める」
仏軍事大臣カトリーヌ・ヴォトランによれば、部隊は孤立したUNIFIL拠点への道を再開通させるため爆発物除去にあたっていた。至近距離から直射を受け、周囲の兵士が救命を試みたが間に合わなかったという。ヒズボラ側は「今回の事件とのいかなる関係も否定する」と声明を出しており、双方の主張は平行線のまま。ただ、状況証拠の重さを考えれば、この否定を額面通りには受け取りにくいんじゃないか、というのが現地取材陣の肌感覚らしい。
2024年以降、UNIFILへの攻撃が続発している件
ヒズボラによる南レバノン攻撃が今回初めてというわけではない。2024年以降、UNIFIL要員への威嚇や傷害事案は繰り返されてきた。特に2024年10月には、イスラエル軍によるUNIFIL施設への砲撃が国際問題となったが、武装勢力側からの直接攻撃も並行して続いていた経緯がある。今回はその延長線上にある事件とみるべきで、「停戦中だから安全」という前提が通用しない地帯であることが改めて示された格好だった。
UNIFILはレバノン南部に1万人規模の要員を展開しており、フランスはその主要派遣国のひとつ。今回の死者は、PKO活動における国際社会のコミットメントに対する直接的な挑戦と受け止められている。米国はイスラエル・レバノン停戦合意を主導した立場から、ヒズボラに対し停戦条件の遵守を改めて求めている。
この先どうなる
フランスが求めているのは「レバノン当局による実行犯逮捕」だが、レバノン政府がヒズボラに対してそれを実行できる力を持っているかどうか、そこが最大の問いになってくる。停戦の期限は10日間。その期間内に誰も逮捕されなければ、マクロンがどう動くか——UNIFILの運用見直しや派遣縮小といった選択肢も俎上に上がってくるだろう。平和維持部隊が「守られる側」になりつつある南レバノン、次の10日間が分岐点になりそうだ。