Mythos AI Anthropicが開発した新モデル「Claude Mythos」が、世界の金融当局を一斉に動かした。すべての主要OSとブラウザに脆弱性を発見したと報じられ、今週ワシントンで開かれたIMF年次会合が、事実上のサイバーセキュリティ緊急会議に変わっていたらしい。

カナダ財務相が語った「未知の未知」——ホルムズ海峡との決定的な違い

カナダのシャンパーニュ財務相はBBCの取材に対し、Mythosの議論が各国財務相の間で「相当な時間を占めた」と明かした。その言葉がちょっと引っかかった。

「ホルムズ海峡との違いは、あそこは場所も規模も分かっている。だがアンソロピックの問題は、未知の未知だ」

地政学的リスクのベンチマークとして長年使われてきたホルムズ海峡を持ち出すのは、それだけ「想定外の怖さ」を伝えたかったってことだろう。封鎖されれば原油の3割が止まる海峡ですら「まだ地図に描ける」。Mythosが掘り起こす脆弱性は、どこにあるか分からない——そのニュアンスは重い。

バークレイズCEOが「銀行システム全体」と言い切った重さ

バークレイズCEOのベンカタクリシュナン氏もBBCに対し「銀行システム全体の安全保障に脆弱性をもたらしうる」と語った。現在、主要銀行のトップに限定的なモデルアクセスが付与され、自行システムの耐性テストが進められているという。IMF cybersecurity financial systemへの影響を、金融機関が自ら検証しなければならない前例のない状況といえる。
ここで注目したいのは「先に攻撃ツールを渡す」という対応の逆説的な構造だ。Claude Mythos vulnerabilityを塞ぐために、Mythosそのものを使って穴を探す——防衛と攻撃が同じ鍵で動いている。

この先どうなる

Anthropicは現時点でモデルの公開範囲を意図的に絞っているとみられるが、限定公開が続く保証はない。銀行の耐性テストが完了する前にモデルが広範に流通すれば、脆弱性の「発見者」が誰になるかは分からなくなる。各国の金融当局がどこまで足並みをそろえられるか、次のIMFレポートと各行のセキュリティ開示が最初の試金石になりそうだ。AIが金融インフラの弱点探知機として機能し始めた今、規制の議論が技術の速度に追いつけるかどうか——そこが当面の焦点になる。