IMF国際通貨金融委員会が、中東紛争を「世界経済への深刻な脅威」と公式声明に明記した。190カ国が加盟する機関がこの言葉を使うのは、異例と言っていい。懸念レベルではなく、警報レベルの話らしい。

ホルムズ海峡20%——その数字が意味すること

世界の原油供給量のうち、約20%がホルムズ海峡を通過している。サウジアラビア、イラク、UAE、クウェート——中東主要産油国の輸出ルートがここに集中している。中東紛争 世界経済リスクを語るとき、この海峡の話を外すと何も見えてこない。

封鎖リスクが1%上がるたびに、原油先物市場は神経質な反応を示してきた。実際に封鎖が起きたとき何が起こるか、シミュレーションよりも現実のほうが速く動く可能性がある。2022年のウクライナ侵攻直後、原油価格は2週間で約40%跳ね上がった。あのとき被害を受けた国々の多くが、今また同じ立場に置かれようとしている。

最貧国がなぜ「最初」に倒れるのか

IMF声明が「最も貧しい国々が最大の打撃を受ける」と名指しした背景には、構造的な非対称性がある。

「中東の紛争は世界経済への深刻な脅威をもたらす重大なショックであり、最も貧しい国々が最大の打撃を受けることになる」——IMF国際通貨金融委員会議長声明(Bloomberg, 2025年4月17日)

南アジアやサブサハラ・アフリカの多くの国は、エネルギーをほぼ輸入に頼っている。原油が上がれば輸送コストが上がり、輸送コストが上がれば食料が上がる。食料が上がれば社会不安が広がる——この連鎖が、豊かな国では「物価上昇」で済む話を、最貧国では「債務危機」「政情不安」に変える。ホルムズ海峡 原油供給の問題は、遠い産油国の話ではなく、アフリカのスーパーの棚の話でもあるわけだ。

加えて、これらの国の多くはコロナ禍以降の債務膨張から回復しきれていない。IMFへの借り入れに依存する国が複数あり、今度の経済ショックが重なれば、債務再編のドミノが始まる可能性も否定できない。

この先どうなる

当面の焦点は二つ。一つは中東紛争がホルムズ海峡の実際の通過能力にどう影響するか。もう一つは、IMFが声明にとどまらず、具体的な支援枠の拡大や緊急融資に踏み切るかどうか。声明が出た翌週にはIMF・世界銀行の春季会合が控えており、そこでどんな数字と措置が出てくるかが次の判断材料になりそうだ。中東紛争 世界経済リスクという言葉が、会合の議題トップになることはほぼ確実とみられている。最貧国支援の議論が「声明」から「資金」に変わるかどうか、そこを見ておきたい。