ホルムズ海峡の封鎖が続くなか、米国の同盟国が制裁対象の国家からエネルギーを買い始めた——ニューヨーク・タイムズが報じたこの事実、想像していたよりずっと早く起きてしまった。
韓国・フィリピンが動いた理由——燃料タンクは同盟より正直だった
イランをめぐる戦争が長引き、中東からの石油供給に深刻な穴が開いた。そこで実際に何が起きたかというと、韓国はロシア石油との取引に踏み切り、フィリピンもイランとのエネルギー調達交渉に乗り出したらしい。どちらも、ワシントンが「買うな」と言い続けてきた相手だ。
「戦争による中東からの石油供給の深刻な途絶を受け、韓国とフィリピンはロシアおよびイランとの取引に踏み切った」(The New York Times、2026年4月17日)
韓国は原油輸入の約70%を中東に依存してきた。その供給路が断たれれば、産業も家庭も止まる。フィリピンも似たような構造で、エネルギー自給率は低い。「同盟国として制裁を守る」という建前と、「今夜の電気を確保する」という現実が衝突したとき、どちらを選ぶかは——まあ、見てのとおりだった。
「制裁の抜け穴」ではなく「制裁の限界」という読み方
韓国 ロシア石油 取引というキーワードで検索すると、ウクライナ侵攻後にも似たような議論があったことがわかる。あのときは最終的に韓国は制裁に同調したが、今回はホルムズ海峡封鎖という別次元の圧力が加わっている。代替調達先が物理的に限られるなかで、「制裁より生存」という判断が出てきたのは、ある意味で予測可能な話だったかもしれない。
フィリピンのエネルギー外交もここが引っかかった。ドゥテルテ政権時代から「米中等距離外交」の素地はあった。現マルコス政権は南シナ海問題で米国に急接近していたはずなのに、エネルギーという別の軸では別の動きを見せている。同盟は一枚岩じゃない、ということが改めてはっきりした形だ。
この先どうなる
ホルムズ海峡封鎖が長期化すれば、韓国・フィリピンだけでなく、日本やインドなど他のアジア各国も同様の「選択」を迫られる可能性がある。ワシントンが制裁の抜け穴を黙認するのか、それとも同盟国に圧力をかけるのか——どちらに転んでも、米国主導の秩序には少なからずコストが生じる。エネルギー供給が正常化しない限り、この亀裂は広がり続けるだろう。今後数週間のホルムズ情勢と、ワシントンの出方を見ておいたほうがいい。