ホルムズ海峡開放――その言葉がイラン自身の口から出た瞬間、原油市場は動いた。世界の石油輸送量の約20%が通過するこの海峡を、封鎖を仕掛けた当事者が自ら解いたという事実は、単純に「緊張緩和」と読むには、少し引っかかる点がある。
イランが「自ら折れた」のか、それとも計算づくの一手か
ニューヨーク・タイムズは、米・イラン間の交渉が現在も継続中であることを確認したと伝えている。
「イランはホルムズ海峡が開放状態にあると表明し、米・イラン交渉が継続される中、和平合意への期待が高まっている」
この報道が示すのは、開放宣言がゴールではなくプロセスの一部だということ。交渉テーブルに座り続けるための「見せ札」として使われた可能性は、十分ある。核・ミサイル開発の状況は変わっておらず、イスラエルとの緊張も燻ったままだ。あの宣言の翌日に何かが起きても、驚く理由はなかった、かもしれない。
原油価格が動いた「20%」の重さ
ホルムズ海峡は幅わずか約50キロ。それでも世界のエネルギー地図においては、どんな大陸よりも重要な一点だった。封鎖されれば中東産原油の積み出しが止まり、アジア・欧州への供給が即座に滞る。この「20%」という数字が市場心理に与えるプレッシャーは、原油価格の数ドル単位の動きとして毎回可視化されてきた。
今回の開放宣言を受けて原油市場が反応したのは、そのメカニズムが働いたから。ただ、原油価格中東リスクという視点で言えば、海峡が「開いている」という状態は、いつでも「閉じられる」という裏返しでもある。市場はそこも織り込んでいる。
この先どうなる
米・イラン和平交渉が継続中であることは確認された。ただ、交渉が続いているということは、まだ何も決まっていないということでもある。イランの核問題、ミサイル開発、イスラエルとの関係――どれひとつ、片付いていない。
ホルムズ海峡開放がこのまま恒久的な状態として定着するのか、それとも交渉が暗礁に乗り上げた瞬間に再び封鎖の脅しが戻ってくるのか。次の分岐点は、おそらくそう遠くない。情勢はまだ、動いている最中だ。