中国イラン石油輸入が、今週突然、世界最大の地政学リスクに変わった。BBCのセキュリティ担当記者フランク・ガードナーが指摘するのは、単純な中東情勢の話じゃない。月曜日に始まった米国によるイランの港湾封鎖が、北京の「経済の命綱」を直接締め上げる構図になっているという話だ。

中国が「無責任」と怒った理由——イラン産原油の依存度が鍵

北京は今回の封鎖を公式に「無責任かつ危険」と非難した。その言葉は外交的な決まり文句に聞こえるかもしれないが、数字を見ると重みが違ってくる。中国はイラン産石油の世界最大の輸入国。ホルムズ海峡が詰まれば、代替調達先を即座に確保するのは難しい。非難の声の裏に、切実な経済的焦りがあったと読むべきだろう。

「イラン産石油の最大輸入国である中国にとって、湾岸における輸出の制限――月曜日に始まった米国によるイランの港湾封鎖を含む――は深刻な問題だ」(BBC・フランク・ガードナー)

注目すべきは、北京が先週末にパキスタンを舞台に、イランを米国との交渉テーブルへ誘導しようと動いたと伝えられている点だ。表向きは「中立的な調停者」、実態は「石油が止まったら困る依存国」という二面性が浮かび上がってくる。習近平が声高に反米を叫ばず、かといって完全沈黙でもない——あの曖昧なトーンは、そのジレンマを正直に反映しているんじゃないかと感じた。

フランク・ガードナーが語る「3つの同時リスク」——米中どちらも望まない展開

ガードナー記者が警告するのは、政治・経済・軍事の三つのリスクが同時に臨界点へ向かっているという点だ。米国としても、中国を本気で追い詰めれば、北京が対抗手段に出る可能性が高まる。制裁の抜け穴を拡大したり、イランへの外交支援を強化したり、といった動きは十分にあり得るシナリオだ。

米イラン港湾封鎖をめぐるニュースが飛び交う中、ガードナー記者が言い続けているのは「中国の役割を無視できない」という一点。実際、この封鎖が長引けば長引くほど、中国は「調停者」と「被害者」の二役を同時に演じ続けなければならなくなる。その綱渡りに限界が来たとき、何が起きるか——そこが最もリスクの高い「空白地帯」と言えそうだ。

この先どうなる

トランプ政権は2週間の停戦を宣言し「完全勝利」と述べたが、ホルムズ海峡の再開をめぐる交渉は続く。中国は表向きの調停姿勢を保ちながら、水面下でどこまで動くか。石油依存という「弱点」を米国に突かれ続ければ、北京は遅かれ早かれ態度を明確にせざるを得ない局面が来るだろう。習近平の「沈黙」がいつ、どんな言葉に変わるか——そこが次の焦点になりそうだ。