米イラン停戦交渉が再び動き出した——その瞬間、原油市場は静かに息を止めた。Bloombergが伝えたところによれば、両国は停戦の延長と交渉再開に向けた動きを見せており、乱高下を繰り返していた原油価格は横ばいへと落ち着いた。ここ数週間で何度も急騰と急落を繰り返してきた市場にとって、これは久しぶりの「休戦」だった。

世界の原油20%が通過する海峡で、何が起きていたのか

ホルムズ海峡。サウジアラビア、イラク、UAE、イランの原油が通り抜けるこの幅45キロの水道は、世界の海上原油輸送量の約20%を担っている。軍事的緊張が高まる中、この海峡への通過リスクが意識されるたびに、タンカーの保険料は跳ね上がり、航空・海運コストにも波及してきた。

夏場の燃料需要ピークを前に市場が神経をとがらせていたのは、そういう理由がある。石油輸出が滞れば、ガソリンスタンドから航空券まで、生活コスト全般に上昇圧力がかかりかねなかった。

「エネルギー市場を揺るがしてきた戦争を終わらせるべく、米国とイランが停戦延長と交渉再開に動く兆しを示したことを受け、原油相場は安定した」(Bloomberg)

この一文が示すのは、停戦が「既成事実」になったわけではなく、あくまで「兆し」の段階だということ。そこが引っかかった。

停戦延長でも消えない「核問題」という火種

今回の停戦延長と交渉再開が仮に実現しても、対立の根っこにある核開発問題は依然として手つかずのまま残る。イランが濃縮ウランの保有水準を落とすのか、米国が制裁緩和にどこまで踏み込むのか——この二点で折り合いがつかない限り、原油価格の安定は一時的なものにすぎないとみる市場関係者は少なくない。

過去のJCPOA(イラン核合意)をめぐる交渉でも、合意と破綻を繰り返してきた経緯がある。今回も同じパターンに陥るリスクは否定できないらしい。停戦延長で原油価格は静止したが、これは嵐の前の凪という見方も十分ありうる。

この先どうなる

最も注目すべきは交渉の「速度」と「議題設定」だろう。停戦が延長されたとして、核問題を正面から話し合う枠組みが作れるかどうか——そこが分岐点になる。原油価格の安定が続けば、夏場の燃料コスト上昇は抑えられ、航空・海運コストへの波及も限定的になる可能性がある。ただ、交渉が行き詰まれば原油市場は再び急騰局面に入ることも考えられる。引き続き、ホルムズ海峡の動向と核交渉の進展から目が離せない状況が続く。