トランプとメローニの決裂——その引き金が「教皇の死」と「イラン外交」だったとは、正直なところ予想外だった。ニューヨーク・タイムズが報じたところによると、欧州でほぼ唯一「トランプの友」と呼ばれてきたイタリアのジョルジャ・メローニ首相との関係が、深刻な亀裂に陥っているらしい。ポピュリスト同士、右派同士という共通項で結ばれていた蜜月が、わずか数週間で崩れようとしている。
教皇問題がなぜ「政治の地雷」になったのか
教皇フランシスコの死去をめぐって、メローニがバチカンとの関係を最優先に動いたのは当然の判断だった。イタリアにとって、ローマ教皇庁との紐帯は単なる宗教的なつながりじゃない。国内カトリック票を束ねる政治的な生命線でもある。メローニ政権の支持基盤はまさにその層と重なっており、教皇への弔意表明と丁寧な外交対応は避けられない選択だったはずだ。
ところがトランプ側はそれを、欧州の「反米姿勢」と同一視したとされる。過去の教皇フランシスコはトランプの移民政策や気候変動対応を繰り返し批判しており、ワシントンにとってバチカンは友好的な存在では決してなかった。そのバチカンを立てたメローニの行動が、トランプ周辺の強硬派を刺激したとみられている。
「ジョルジャ・メローニ首相はかつて、トランプ大統領の最も親密な欧州の同盟国の一人と見なされていた。だがその友情は今、危機に瀕しているようだ。」(The New York Times)
イラン核交渉——メローニが欧州側に引き寄せられた理由
もう一つの火種がイラン核交渉だった。トランプ政権は「最大限の圧力」路線でテヘランに迫っており、交渉の主導権を完全に米国が握ることを望んでいる。一方でメローニは、英仏独いわゆる「E3」と歩調を合わせる形で、外交的解決を模索するスタンスを崩していないらしい。
イラン核交渉における欧州の関与は、メローニ個人の選好というより、EU加盟国としての構造的な立場から来ている部分が大きい。それでもトランプ側には「欧州に取り込まれた」と映ったようで、強い不満が伝えられている。メローニとしては国内政治と同盟外交のバランスを取ろうとしたのかもしれないが、それがワシントンには「裏切り」として受け取られたってことだろう。
この先どうなる
メローニの離反は、米欧関係の亀裂が単なる「貿易摩擦」や「NATO予算」の話ではなくなってきたことを示している。トランプに最も近かった欧州指導者でさえ、宗教と外交という二つの問題で摩擦を起こす——そうなると、残る「橋渡し役」候補がほぼ見当たらない状況になる。今後メローニがトランプとの関係修復を優先するか、欧州連帯に軸足を移すかは、イタリア国内政治の行方とも直結する。次のG7や国連の場でどんな立ち位置を取るのか、しばらく目が離せない。