ロシア石油輸出の大動脈が、ドローンによって一本ずつ潰されていっている。黒海の主要積み出し港が攻撃で機能停止に追い込まれ、ロシアが代替として急いだバルト海ターミナルへの切り替え——その矢先に、今度は別の重要拠点が新たなドローン攻撃を受けた。Bloombergが伝えたのは、そういう話だった。
バルト海に逃げようとしたら、そこも止まった
黒海港が使えなくなれば、次はバルト海。ロシアが取れる選択肢は限られていて、それをウクライナ側も当然わかっている。代替ルートへ積み出しを拡大しようとした瞬間を狙ったかのように、別の拠点が停止させられた。
「バルト海ターミナルが稼働を拡大しようとした矢先、別の主要拠点がドローン攻撃によって停止させられた」(Bloomberg)
ロシアの石油収入はウクライナ戦費のおよそ3割を支えているとされる。つまりインフラを叩くことは、制裁とはまた別の経路で、戦争を続ける資金そのものを削る話になってくる。派手な地上戦ではなく、ドローン一機が港を止めることで、戦費が細っていくという構図——これが「インフラ戦線」と呼ばれはじめている理由らしい。
原油高騰、その飛び火先は日本の電気代かもしれない
問題はロシア側だけに収まらないところにある。黒海港ドローン攻撃が相次ぐことで、世界市場への供給不安が高まり、原油価格はさらに上昇圧力を受けている。エネルギーの自給率が低い日本を含む輸入国にとって、これは輸送費・電力費・ガス代という形で家計に直接乗ってくる話だ。戦場から遠く離れた場所で、じわじわと影響が滲み出てくるのが、エネルギー市場原油高騰の怖いところじゃないかと思う。
ウクライナとしてはインフラ攻撃を続けるインセンティブが明確にある。戦闘員を一人も失わずに、相手の収入を削れるなら、これほど効率的な手段はない。一方でロシアも黙って見ているはずはなく、残存するルートの防衛強化と新たな迂回路の開拓を同時に急いでいる状況だ。輸出量の回復時期は、今のところ見通せない。
この先どうなる
ロシアが石油輸出インフラを守り切れるかどうかが、今後数週間の焦点になりそうだ。バルト海ルートへの防空強化や、パイプライン経由での輸出拡大を試みるとみられるが、どこを使っても「次の標的」になりうる状況は変わらない。原油価格については、OPECプラスの増産判断や米国のシェールオイル動向が緩衝材になるかが注目点。ロシアの輸出量が長期にわたって低迷すれば、戦況そのものにも影響が出はじめるかもしれない——そのタイムラインが、今まさに動いている。