ホルムズ海峡封鎖が、月曜日に静かに発動された。派手な宣言はなかった。米イラン交渉がパキスタンで決裂した翌朝のことで、タイミングが偶然とは思えない。世界の石油輸送量の約20%が通過するこの海峡に、米海軍の包囲網が敷かれた形だ。

中国タンカーだけが通れていた、その「特権」が消える

封鎖前、ホルムズ海峡を実質的に閉鎖していたのはイランだった。米・イスラエルの攻撃への報復措置として海峡を封じたが、そのなかで例外的に通過できていたのが中国船籍のタンカーだった。

通行料をイランに払っていたかどうかは現時点で不明らしい。ただ、中国がイラン産原油の最大の買い手であることを考えると、両国間に何らかの取引があったと見るのが自然だろう。その「抜け道」を、米国の封鎖が塞ごうとしている。

中国外務省の郭嘉昆報道官はすぐさま反応した。

「包括的な停戦を達成し、戦争を終わらせることによってのみ、海峡の状況緩和のための条件を根本的に整えることができる」

「無責任かつ危険」という言葉も出た。脆弱な停戦合意を損なう、とも警告している。外交的な怒りとしては、かなり強めの表現だった。

トランプの狙いは、イランではなく北京かもしれない

トランプ大統領は「イランに核開発を断念させるための措置」と説明しているが、アナリストたちの見方は少し違う。封鎖の射程は、テヘランよりも北京に向いているんじゃないか、というわけだ。

中国イラン原油の輸入ルートを締め上げることで、北京にイランを説得させる——そういう圧力構造として封鎖を読む専門家は多い。米イラン交渉決裂の直後に動いたことも、その見立てを補強する。

イランの国連大使は「主権への重大な侵害」と報じられた。国際法上の正当性をめぐる議論も、これから出てくるはずだ。

この先どうなる

焦点は二つある。中国が米国の圧力に折れてイランを説得するのか、それとも中国が封鎖を「紙の上の話」として強引に突破を試みるのか。

中国タンカーが封鎖ラインを越えようとした場合、米海軍がどう対応するかは不透明だ。衝突リスクは低くない。ホルムズ海峡封鎖が長引けば、中国経済へのエネルギー供給に実害が出始める。その「痛み」が限界を超えたとき、北京が動く——そのシナリオを市場も静かに織り込み始めているはずだ。