法王レオ アフリカ歴訪——その行程表には、熱狂的な信者の群れと、国際社会が人権侵害で名指しする指導者たちが、ほぼ同じ密度で並んでいる。

数字を並べると、その旅の重さが見えてくる。アフリカのカトリック信者は過去30年で倍増し、現在およそ2億7千万人。全世界12億人の信徒のうち、約2割がすでにこの大陸に集まっている。欧州の大聖堂が閑散としていく一方で、アフリカの教会には若者があふれている。法王が向かう先は「カトリックの未来」そのものだ、という見方はあながち誇張でもない。

信仰が最も速く育つ大陸で、法王を待つ顔ぶれ

ニューヨーク・タイムズの報道によれば、今回の歴訪先には権威主義的な指導者たちも名を連ねる。

「信仰が世界のどこよりも速く拡大しているアフリカ大陸への4カ国歴訪で、法王は熱狂的な群衆と権威主義的な指導者たちに迎えられる予定だ」

バチカンの宗教外交は、歴史的に「対話のためならテーブルにつく」という姿勢を崩さない。それが外交的リアリズムなのか、あるいは沈黙による共犯なのか——過去の法王もこの問いを何度も突きつけられてきた。今回もその構図は変わっていないらしい。

カトリック アフリカ 成長の勢いは、バチカンにとって純粋な朗報のはずだが、それだけ複雑な政治環境とも向き合わざるを得なくなってきた、ということでもある。

「対話か、批判か」——バチカン外交が抱えるジレンマ

バチカン 宗教外交 権威主義 という組み合わせは、今に始まった話じゃない。かつてヨハネ・パウロ2世はポーランドで共産主義と向き合い、フランシスコ前法王はミャンマーでロヒンギャ問題への言及を避けたとして批判された。「対話の維持」を優先すれば人権侵害に目をつぶることになり、「批判の声明」を出せば外交チャンネルを失う。どちらを選んでも傷が残る。

法王レオがこの旅でどんな言葉を選ぶか——あるいは選ばないか——が、世界中のメディアに観察されているわけだ。信者2億7千万人の「地元」での振る舞いは、次の数十年のアフリカ教会との関係を左右しかねない。プレッシャーは相当なものだったろう。

この先どうなる

今回の歴訪が終わった後、注目されるのはバチカンが「公式声明」で何を語り、何を語らなかったかだ。人権団体はすでに、訪問先の指導者との会談内容の開示を求めている。また、アフリカのカトリック指導者たちが欧米中心だったバチカン意思決定に影響力を持ち始める流れも加速しそうで、次の枢機卿人事や教義論争にもじわじわ影響が出てくる可能性がある。法王の旅は4カ国で終わっても、その余波は止まらない。