ドバイ移民労働者の約100万人が、今まさに仕事と在留資格を同時に失おうとしている——イランとの戦争が長期化する中、砂漠に建てられた「奇跡の都市」の足元が静かに崩れ始めていた。
UAE観光業崩壊:ホテルが閑散、最初に切られたのは誰か
ドバイの労働力のうち、およそ90%を移民が占める。建設現場の作業員だけじゃない。ホテルのフロント、レストランのウェイター、ショッピングモールの販売員——華やかな観光都市を裏から支えてきたのは、ほぼ全員が外国人労働者だった。
ところがイランとの軍事衝突が続くにつれ、中東への渡航を敬遠する観光客が急増。ドバイのホテル稼働率は落ち込み、航空便のキャンセルも相次いでいるらしい。経営側がまず手をつけたのが人件費の削減で、一時帰休・賃金カット・そして本国送還という順番で圧力がかかっていった。
「イランとの戦争でホスピタリティ産業が深刻な打撃を受けたアラブ首長国連邦では、移民労働者が一時帰休、賃金カット、さらには本国送還という現実に直面している」——The New York Times, 2026年4月14日
UAE観光業崩壊のしわ寄せが、最も声を上げにくい層に集中している点がひっかかった。UAEにはセーフティネットと呼べる制度がほぼ存在しない。雇用主がスポンサーシップ(カファラ制度)を打ち切れば、労働者は即日「不法滞在」になりかねない仕組みだ。仕事を失うことと国外追放が、ほぼイコールで結びついている。
イラン戦争経済影響の「見えにくいコスト」、誰が払わされているか
イラン戦争の経済影響として報じられるのは原油価格や株式市場が多い。でも数字に出にくいコストもある。フィリピン、インド、パキスタン、バングラデシュ——ドバイに出稼ぎに来た人々が仕送りを止められ、故郷の家族の生活が直撃される連鎖だ。
ドバイという都市は、移民なしには一日も機能しない。それは政府も経済界も百も承知のはずなのに、危機が来ると真っ先に「調整弁」として使われる。今回もその構図は変わらなかったってこと。
移民労働者たちは組合も持てず、ストライキも法律で禁じられている。抗議する手段がほとんどない中で、荷物をまとめて空港に向かうしかない人が積み上がっていく。
この先どうなる
停戦や情勢の安定化が見えない限り、UAE観光業の回復は難しい。仮に戦闘が収束しても、観光客の信頼を取り戻すには相当な時間がかかるとみられている。ドバイ当局は観光業のテコ入れ策を検討しているとも伝わるが、具体的な移民保護策には言及がない。イラン戦争経済影響の「最終請求書」が誰に届くのか——答えはすでに出ているようにも見える。