Totoがユニットバスの新規受注を全面停止した——このニュースを聞いたとき、正直「バスルームと戦争がつながるのか」と思った。だが調べるほど、その接続は至って真っ当だった。Bloombergが4月13日に報じたもので、原因はイラン戦争が引き起こした石油サプライチェーンの混乱だ。

ユニットバス1台に、どれだけ「石油」が入っているか

ユニットバスの製造には、樹脂製の浴槽パネル、防水コーティング剤、接着シール材など、石油由来の化学素材が幅広く使われている。普段は「石油で動く工場」というイメージしかないかもしれないが、実は「石油でできた製品」でもある。

イラン戦争の激化でホルムズ海峡周辺の原油流通が滞り、川下の化学素材市場にも在庫不足と価格高騰の波が及んだ。Totoは素材調達の見通しが立たないとして、受注停止という判断を下したらしい。新築住宅や集合住宅向けの案件が多いユニットバス部門では、工期との兼ね合いもある。「いつ作れるかわからないものを受注できない」という、至極まともな理由ではある。

「東陶機器(Toto)は、イラン戦争が世界の石油サプライチェーンを圧迫し続ける中、素材不足を理由にユニットバスの新規受注を停止した。」(Bloomberg、2026年4月13日)

今回の停止が「一時的」で終わるかどうかは、まだ誰にもわからない。イラン戦争の停戦交渉は不透明なまま、石油市場の回復シナリオも固まっていない。

建設・住宅産業が今、静かに詰まっている

Totoの判断は孤立したケースじゃない。イラン戦争によるサプライチェーン影響は、すでに複数の化学メーカーや建材メーカーが原材料不足や生産調整を口にし始めている段階だ。住宅着工の現場では「設備が来ない」という声が静かに広がっており、工期遅延のリスクが積み上がっている。

石油由来の化学素材は、建設資材のサプライチェーン上でほぼあらゆる工程に絡む。断熱材、配管、塗料、防水シート——中東の戦火は、日本のマンションの完成予定日を少しずつ後ろにずらしている、ってことでもある。

この先どうなる

最も大きな変数は停戦のタイミングだ。停戦が成立しても、サプライチェーンの回復には数か月から半年以上かかるとみられている。素材メーカーが在庫を積み直し、物流が安定し、メーカーが生産を再開するまでにはラグがある。受注停止が解除されても、納期遅延や価格転嫁のかたちで影響は長引くだろう。

Totoが受注を再開するとき、ユニットバスの値段は今より高くなっているかもしれない。戦争のコストは最終的に、誰かの住宅ローンの中に紛れ込む。