イラン処刑数2024が1,639人に達した——これは1989年以来35年ぶりの最悪記録で、前年975人から68%増という数字だ。ノルウェー拠点のIran Human Rights(IHR)とパリの死刑廃止連合(EPCM)が共同報告書で明らかにした。「多い」ではなく「急増」という点が引っかかる。
1,639人の内訳——57人は「政治的処刑」だった
処刑された大多数は薬物犯罪や殺人の有罪判決を受けた人々だ。ただ、その陰に埋もれた数字がある。少なくとも57人が「安全保障関連の罪」で絞首台に送られ、その中には抗議活動参加者2人も含まれていた。
さらに今年2月28日に始まった対米・対イスラエル戦争以降、抗議運動に絡む処刑がすでに7件確認されている。イスラエルのスパイとして有罪判決を受けた1人、そして亡命反体制派組織「モジャヘディーネ・ハルク(MEK)」のメンバー6人も含まれる。
「イランは昨年、少なくとも1,639人を処刑した。これは1989年以来最多の記録であり、975人が処刑された2024年比で68%増加した」——Iran Human Rights (IHR) / Together Against the Death Penalty (EPCM)
数字の密度だけでも重いが、注目すべきはその「スピード」だ。1月の抗議運動と2月の開戦という2つの出来事が重なり、処刑が政治的な圧力装置として機能し始めている疑いがある。
中国に次ぐ「世界第2位」が記録的臨界点を越えた
イランはもともと中国に次ぐ世界第2位の処刑大国だ。中国の正確な数字は国家機密扱いで、人権活動家の間では「数千人規模」と見られているらしい。その第2位の国が、35年ぶりの最悪値を更新した。
イラン死刑1989——この年が参照されるのは理由がある。イラン・イラク戦争終結直後の政治的粛清期に数千人が処刑されたとされ、国際社会から激しい批判を受けた年だ。その記録に迫る、あるいは一部で並ぶ水準に達したということでもある。
この先どうなる
IHRとEPCMの警告は具体的だ。「今年はさらに増える可能性がある」——1月の大規模抗議と戦時下の強硬姿勢が組み合わされば、処刑が体制維持の手段として一層使われる展開は否定しきれない。イラン処刑数2024の1,639人という数字が「ピーク」になるのか「出発点」になるのか、それは今年後半の情勢次第だろう。国際社会の監視の目がどこまで機能するか、問われている。