ホルムズ海峡封鎖——その言葉がトランプのTruth Socialに並んだのは、20時間交渉が崩れ落ちた翌朝のことだった。JDバンス副大統領が率いた米国交渉団は、イスラマバードでイラン側と直接向き合い続けたが、合意には届かなかった。そして週明け日曜の朝、トランプは動いた。

イスラマバード交渉、20時間で得たものと失ったもの

バンス副大統領がイスラマバードに乗り込んだのは、外交による出口を探るためだった。20時間という異例の長さが、双方の「合意したい」という気持ちを示してもいた。ところが蓋を開けると、論点はむしろ広がっていた。

トランプは「核の放棄を拒んだことが決裂の原因」と説明した。しかし交渉の内情を知る米当局者の説明は、もう少し込み入っている。核問題だけではなく、イランのフーシ派・ヒズボラ支援の継続、そしてホルムズ海峡の管理権——これら複数の根本的対立が、テーブルの上に積み残されたままだったらしい。

核交渉が失敗した、というより、交渉すべき山が思った以上に高かった——そういうことじゃないか。

「違法な通行料を払う者は守らない」封鎖宣言の抜け穴

トランプがTruth Socialに書いた言葉は明快だった。

「違法な通行料を支払う者に、公海上での安全な通行は認めない。」

さらに米軍はホルムズ海峡の機雷除去を継続し、「適切な時機にイランへの攻撃を再開する準備が整っている」とも付け加えた。強い言葉が並ぶ。ただ、ここで引っかかったのが一点ある。

機雷を除去する米艦艇は、その作業中、イランの攻撃にさらされうる。封鎖という圧力をかけながら、同時に自軍のリスクも高めてしまう——これは交渉カードを増やしたというより、盤面を複雑にしたと見るほうが正確かもしれない。トランプ政権のイスラマバード交渉失敗が封鎖という「次の手」に転じた形だが、米当局者自身がその危険性を認めているのは注目に値する。

この先どうなる

ホルムズ海峡封鎖が実行に移された場合、世界の原油輸送の約20%が通過するこの海峡の緊張は一気に跳ね上がる。イランは以前から「封鎖には封鎖で応じる」姿勢を示しており、米艦艇との直接衝突シナリオが現実味を帯びてくる。一方でトランプ側は「攻撃再開の準備は整っている」としつつも、そのタイミングを「適切な時機」とぼかしている。圧力をかけながらも外交の扉を完全に閉めていない——という読み方もできるが、次のイスラマバード級の交渉が設定されたという情報は今のところない。封鎖宣言が本格的な軍事行動への助走なのか、それとも交渉を再起動させるための揺さぶりなのか。その答えは、今後数日のホルムズ海峡の海面が教えてくれるだろう。