ホルムズ海峡閉鎖6週目に入っても、出口は見えていない。2026年4月11日、国際海事機関(IMO)のアルセニオ・ドミンゲス事務局長がブルームバーグの取材に応じ、イランが求める通行料徴収について「国際海事法に反する」と断言した。交渉には臨む構えを見せながらも、この立場は崩さない――という宣言だった。

「通行料は認めない」ドミンゲスが言い切った理由

世界の石油輸送量の約20%が通過するホルムズ海峡。ここを封鎖されれば、エネルギー市場への影響は計り知れない。イランが持ち出した「通行料」という要求は、事実上の経済的締め付けと読める。

これに対してドミンゲス事務局長が持ち出したのが、国際海事法の原則だった。海峡における「通過通航権」は国連海洋法条約(UNCLOS)で保障されており、一方的な通行料徴収はその根幹を崩しかねない。IMOとしては、一度でも容認すれば世界中の海峡・水道で同様の要求が噴出するリスクがあり、「ここで退けない」という立場は組織の存在意義にも関わる。

「ホルムズ海峡の閉鎖が6週目に入る中、IMOのアルセニオ・ドミンゲス事務局長がブルームバーグに出演し、今週末の交渉と海峡周辺に足止めされた2万人の船員について語った。」(Bloomberg、2026年4月11日)

ただ、「法的に正しい」と「交渉がまとまる」は別の話。IMOが通行料を拒絶したまま交渉テーブルに着くということは、落としどころを探るというより、原則を確認しに行く場になりかねない。

2万人の船員、6週間の漂流

数字で見ると改めて重い。現在、海峡周辺には約2万人の船員が身動きを取れない状態に置かれている。物資の補給、医療アクセス、精神的な疲弊――こうした問題が積み上がっているのに、交渉は今もゼロ回答に近い状況らしい。

IMO ドミンゲス 通行料拒絶の報道が出た直後、海運業界では「人道回廊の設置を先行させるべき」という声も上がっていた。外交的な解決に時間がかかるなら、せめて船員の安全だけでも先に確保を――という切り分けの発想だ。それが今週末の交渉で議題に乗るかどうかが、一つの注目点になる。

船員 2万人 足止め という現実は、数字が大きすぎてピンとこないかもしれないが、タンカー1隻あたり約20〜30人とすれば、数百隻規模の船が今も動けないでいることになる。

この先どうなる

ドミンゲス事務局長は今週末の交渉に向かうことを明言した。ただし「通行料拒絶」の旗は降ろさない。イラン側がこの前提を受け入れるかどうかが、最初の分岐点になりそうだ。

仮に交渉が決裂すれば、ホルムズ海峡閉鎖の長期化はほぼ確定的で、原油の迂回ルート(スエズ運河経由など)への依存がさらに高まる。一方、イランが何らかの「顔の立つ妥協案」を出してきた場合、交渉は急展開する可能性もある。どちらに転んでも、2万人の船員が最初に影響を受ける立場にいることは変わらない。週末の交渉結果次第で、状況は一気に動くかもしれない。