ボコ・ハラム関係者386人が、一度の判決で有罪になった。アフリカ最大の人口を抱えるナイジェリアで、これほど大規模な一斉判決が下されるのは過去に例がない。首都アブジャの連邦高等裁判所が2025年に下したこの判決は、単なる「犯罪者の処罰」ではなく、崩壊寸前の治安状況に追い詰められた政府が打った、一種の意思表示とも読める。
500人裁判、5年〜終身刑——何がそんなに異例だったか
今回の裁判で起訴された人数は500人超。金曜日の判決で386人が有罪、2人が無罪、8人が放免、112人の案件は延期となった。刑期は5年から終身刑まで幅がある。
引っかかったのは、起訴対象の範囲だった。攻撃を直接実行したメンバーだけじゃない。資金を回した人、武器を調達した人、食料を届けた人——いわゆる「後方支援」まで丸ごと網に掛けた。実際、有罪となった5人は冒頭で家畜の売却や食料・情報提供を認めて有罪答弁を行っている。こうした周辺関与者を組織的に裁いたのは、ナイジェリアでは異例の対応だった。
「裁判官は386人を有罪とし、2人を無罪、8人を放免、112人の案件は延期とされた」(BBC News, 当局者発言)
ボコ・ハラムは2009年に武装闘争を開始。以来、数万人が命を落とし、200万人超が故郷を追われたとされる。その分派ISWAP(イスラム国西アフリカ州)も現在も活動を続けており、ナイジェリア北東部の治安は長年、慢性的な危機状態にある。
米国が「渡航再考」勧告を出した国で、今何が起きているか
今回の判決が出た週、米国はナイジェリアへの渡航を「再考」するよう自国民に呼びかけた。治安の悪化が理由だ。ジハーディスト、分離主義勢力、身代金目的の誘拐集団——複数の武装グループが同時に活動する状況は、ナイジェリア政府にとって多正面作戦を強いられる消耗戦になっている。
クリスマスには米軍が北部ソコト州で空爆を実施したとも報じられており、外部からの関与も増している。今回の大量判決は、そんな文脈の中で「政府はちゃんと動いている」と内外に示すための象徴的な一手だったとも見られている。ただ、386人を裁いた裏で、まだ112件は継続中。完結にはほど遠い。
この先どうなる
延期となった112件の判決がこれから順次下される見通しで、一連の裁判はまだ終わっていない。後方支援者まで対象にした今回の手法が定着すれば、資金や物資の流れを断つ新たな対テロ戦略として機能する可能性はある。一方、ISWAPは組織として依然健在で、北東部では散発的な攻撃が続いている。裁判で数百人を収監しても、組織の補充能力が残る限り根本解決にはならない——という見方も根強い。「判決の数」と「現地の安全」がどこかで噛み合う日が来るかどうか、しばらく目が離せない。