イラン戦争が引き起こした原油高騰の余波が、今度は航空運賃という形で一般旅行者の財布を直撃している。Bloombergが2026年4月11日に報じた内容によれば、米航空各社は運賃の引き上げ、手荷物料金の新設、そして路線の大幅縮小を相次いで実施。旅行情報サービスGoing.comのエキスパート、ケイティ・ナストロ氏は「今夏の旅行費用は過去最高水準」と明言した。戦場はホルムズ海峡だが、その請求書は成田からの国際線予約画面にも届き始めた。

ジェット燃料高騰で、航空会社が取った3つの手

航空会社のコスト構造を調べると、燃料費が運航コスト全体の20〜30%を占めることが多い。そこにジェット燃料の価格急騰が重なれば、収益への打撃は相当なものになる。

米各社が選んだ対応策は大きく三つ。まず運賃そのものを引き上げる。次に、これまで無料だった手荷物に新たな料金を設ける。そして採算が取りにくくなった路線をそのまま縮小・休止する。どれも乗客側に直接しわ寄せが来る手だ。

「米国の航空会社は運賃を引き上げ、手荷物料金を追加し、路線を縮小している。イランとの戦争が石油・ジェット燃料コストに壊滅的打撃を与え続けており、今夏の旅行費用は史上最高水準に達している」(Bloomberg、2026年4月11日)

特に手荷物料金の「新設」は見逃しにくいポイントだった。値上げではなく、なかった料金が生まれるわけだから、事前に航空券を比較していた旅行者は想定外の出費を迫られる。「安い航空券を取ったつもりが、トータルでは割高」という逆転が起きやすいタイミングに入ってきたと言える。

なぜホルムズ海峡の話が夏休みの予算に影響するのか

中東リスクと旅行費用がつながる経路は、思ったよりシンプルだ。イラン情勢の緊張がホルムズ海峡の通過リスクを高めると、そこを経由する原油タンカーの保険料と運賃が上昇する。国際原油価格が上がれば、航空燃料として精製されるジェット燃料の価格も連動して跳ね上がる。

航空会社は燃料費を一定程度ヘッジ(先物買い)で緩和できるが、紛争が長引けばそのバッファも限界を迎える。今回のイラン戦争はすでに複数週にわたって燃料コストを高止まりさせており、ヘッジが効かなくなった部分がそのまま乗客への転嫁として出てきているらしい。

日本からの海外旅行を考えている人にも、この動きは無関係じゃない。日系・外資を問わず国際線の需給と価格は連動しており、欧米路線を中心に夏季の予約単価が例年より高くなっている傾向は複数の旅行サイトでも確認されている。

この先どうなる

焦点は二つ。一つ目は原油価格がいつ落ち着くか、だ。イラン情勢の停戦・停戦交渉の進展があれば、ジェット燃料高騰は一定程度緩和される。ただ紛争が長期化するシナリオでは、秋の旅行シーズンまで高水準の運賃が続く可能性がある。

二つ目は、縮小された路線が元に戻るかどうか。一度削られた路線は需要が証明されない限り簡単には復活しない。路線縮小が旅行者の選択肢を狭め、残った路線の運賃がさらに上がるという二次的な影響も出てくる。

Going.comのナストロ氏が「史上最高」と表現した今夏の旅行コスト。その請求書の一部には、ホルムズ海峡の緊張という行も、ひっそり含まれている。