Planet Labsの衛星画像制限が、「14日間の一時措置」から「無期限」に切り替わっていた。BBCが確認したところ、対象範囲はイランにとどまらず、イラク、レバノン、イスラエル、そしてガザにまで広がっていた。報じたのはBBC Verify。米政府の要請を受けた民間企業が、中東全域の「目」を静かに閉じていたらしい。
3月に始まった「14日遅延」が、いつの間にか無期限になっていた
Planet Labsがユーザーに最初の通知を出したのは今年3月。理由として挙げたのは「敵対勢力がNATO加盟国の要員や民間人を標的にするために画像を戦術利用するリスクを排除するため」という説明だった。
ところが取材が進むと、制限はすでに「マネージド・ディストリビューション」と呼ばれる別の体制に移行していて、画像の提供は「セキュリティリスクが収まるまで、ケースバイケースで選択的に」という扱いになっていた。事実上の無期限封鎖と読んで差し支えない。
「プラネット・ラボスは当初、3月に同地域の新画像提供に14日間の遅延を導入した。その後、『無期限』の制限に移行した。この決定により、ジャーナリスト、人道支援団体、アナリストが衛星画像を使って米・イスラエルとイランの戦争の影響(軍事目標や民間インフラへの損害を含む)を評価する能力が制限された。」(BBC Verify)
国防総省はコメント要請に応じなかった。制限の真の目的は、現時点では確認できていない。
「軍事契約が商業インセンティブを通じた従順さを生む」——専門家が指摘した構図
ここで引っかかったのが、ある衛星画像専門家の証言だ。BBC Verifyの取材に対し、匿名の専門家はこう語った。軍との契約を持つPlanet Labsのような企業は、「ボランタリー・コンプライアンス(自発的な協力)」という形で要請に応じるが、それは実際には「商業的インセンティブ構造に駆動されている」ことがあると。
要するに、法的な命令ではなく、契約関係という「経済的な縛り」が企業を動かすケースがある、ということ。米政府が明示的に「命令」を出したかどうかより、その圧力がどう機能したかのほうが問題として重い。
BBC Verifyはこれまで中東報道でPlanetの画像を活用してきた。ガザの民間インフラ被害、軍事拠点の変化、避難民の移動——こうした検証の一部が、今後はできなくなる可能性がある。人道支援団体にとっても、現地の被害状況を外部から独立して確認する手段が狭まる。
この先どうなる
米・イスラエルとイランの軍事的緊張が続く限り、この制限が解除される見通しは現時点では立っていない。「セキュリティリスクが収まるまで」という条件設定は、出口のない文言とも読める。
一方で、衛星画像ビジネスはPlanet Labs以外にも複数のプレイヤーが存在する。競合他社が同様の制限を受けているかどうか、あるいは今後受けるかどうかが、次の焦点になりそうだ。米政府がどこまで民間の「目」を管理しようとしているのか。その輪郭が見えてくるのは、もう少し先の話かもしれない。