ホルムズ海峡の合意が、静かに揺らいでいる。トランプ大統領がNBCニュースのインタビューで「我々の合意とは違う。イランは非常にまずい対応をしている」と異例の言葉で公然と批判した。世界の原油輸送量のおよそ20%が通過するこの海峡で何かが起きれば、エネルギー市場への影響は即時かつ広範囲に及ぶ。その緊張を、トランプ自ら言葉にした。

トランプが「合意違反」と名指し——ホルムズ海峡で何が変わったのか

報道によれば、米国とイランの間には原油の通行をめぐって何らかの取り決めが存在していたとみられる。しかし今、その中身に双方の認識のズレが生じているらしい。トランプの発言が「警告」なのか「交渉上の揺さぶり」なのかは判然としないが、これを公開のインタビューで語ったという事実は軽くない。

市場はすでに反応を示している。ホルムズ海峡は中東産原油の大動脈であり、ここでの摩擦は原油価格の変動に直結する。イランへのトランプ警告という情報だけで、投資家の目が一斉にこの海峡に向いた格好だ。

ネタニヤフとの電話で何を決めたのか——「低調」発言の裏側

同じインタビューで、トランプはイスラエルのネタニヤフ首相と電話会談を行ったことも明かした。

「ビビと話した。彼は低調にすると言っている。もう少し抑えめにしなければならないと思う」(トランプ、NBCニュースへのコメント)

ネタニヤフ首相はレバノンとの直接交渉を開始すると表明し、米国務省は来週ワシントンで停戦協議の場を設けると発表した。ただ、ネタニヤフは北部住民への演説で「レバノンに停戦はない」とも明言している。イスラエル軍は木曜日もレバノン南部のヒズボラロケット発射拠点を標的に空爆を続けており、トランプの言う「抑えめ」が現場の行動にどこまで反映されているか、確認しにくい状況が続いている。

イスラエル・レバノン停戦交渉を後押ししながら、同時にイランへの圧力を強める——米国がこの二つをどう両立させるのか、外交と軍事行動が文字通り同時進行している週だった。

この先どうなる

来週ワシントンで開かれる停戦協議が、最初の分岐点になりそうだ。レバノン側は交渉前の停戦を求めているのに対し、イスラエルは攻撃継続の姿勢を崩していない。このギャップが埋まらなければ、協議は初日から難航する可能性がある。一方、ホルムズ海峡をめぐるトランプ・イラン間の緊張は、核合意交渉の進捗とも連動しており、今後の米国の出方次第で原油市場が再び動く局面が来るかもしれない。「低調にする」と言ったネタニヤフが実際にそうするかどうか、今週末の動向が試金石になる。