米イラン協議の行方を前に、原油が急伸した。日時は今週末。たった2日先の外交テーブルが、世界のエネルギー価格を動かしている。Bloombergが「単なる外交イベントではない」と報じたのも、数字を見れば納得できる。ホルムズ海峡を通る原油は世界全体の輸送量の約20%。ここが止まれば、影響は即日、輸入依存の日本にも届く。

ホルムズ海峡「20%」の重さ——なぜ今、この数字が効くのか

調べるほど引っかかったのが、この「20%」という数字の意味だった。単純計算で、世界が使う原油の5本に1本がホルムズ海峡を通っているらしい。マレー半島の先端みたいな細い海峡に、これだけの量が集中している。

中東停戦は依然として「不安定」と評されている。アジア株は小幅高だったが、それは楽観ではなく「様子見」に近い動きで、市場が固唾を飲んでいるのが数字から透けて見えた。

「不安定な中東停戦と今週末の米・イラン協議を前に投資家が慎重姿勢を保つ中、原油が上昇しアジア株は小幅高となった。」(Bloomberg)

この一文が妙に刺さった。「慎重姿勢を保ちながら小幅高」という矛盾した動きが、今の市場の緊張感を正確に映している。買いたいけど買い切れない、そんな状態だろうか。

協議が決裂すれば「地政学プレミアム」は消えない——2つのシナリオ

今週末の米イラン協議には、大きく2つの出口がある。

まず決裂した場合。中東停戦が崩壊し、軍事衝突のリスクが再浮上する。数週間かけて積み上がった地政学プレミアム——つまりリスク分の上乗せ価格——は剥がれるどころか、さらに膨らむ可能性がある。原油価格はもう一段上がり、インフレ圧力も長引く。

逆に合意に達した場合。これまで原油価格に乗っていたリスクプレミアムが一気に剥落して、マーケットは反転する展開もあり得る。ホルムズ海峡をめぐる緊張が和らげば、エネルギー輸入に依存する日本にとってはむしろ追い風になるかもしれない。

ただ、「合意」と「安定」は別物だという点は忘れておけない。過去の米イラン交渉を振り返ると、合意後も緊張が燻り続けたケースは少なくなかった。

この先どうなる

今週末の協議が終われば、少なくとも「不確実性」は一つ消える。市場が最も嫌うのは結果ではなく霧の中にいること、とよく言われる。決裂でも合意でも、方向性が見えた瞬間に原油価格は大きく動くだろう。

日本への影響という観点では、原油高が長引けばガソリン価格や光熱費への波及が現実味を帯びてくる。政府の燃料補助策がいつまで続けられるかも、協議結果次第で再び問われることになりそうだ。

今週末、世界は一つの外交テーブルの結果待ち。それだけの話なのに、なぜかずっと気になってしまう。