予算調整手続きという「抜け穴」を使っても、自党の反乱は塞げなかった。トランプ政権が来月の単独可決を目指す大型歳出・減税パッケージを巡り、共和党の内側で静かな内戦が始まっている。Bloombergが報じた。

「抜け穴」戦術が共和党の内紛を可視化した

バジェット・リコンシリエーション、日本語で言う予算調整手続きは、上院の議事妨害(フィリバスター)を回避し、過半数だけで予算関連法案を通せる立法上の特例だ。通常60票必要なところを51票で突破できる。共和党指導部がこの手法を選んだのは、民主党の抵抗をシャットアウトするためだった。

ところが計算が崩れた。問題は対岸の党ではなく、自分たちの中にあったらしい。

「今後数日間が、トランプ大統領が来月議会から得られる大規模歳出法案の規模がどれほど絞り込まれるかを決定づけることになる」(Bloomberg)

法案の規模を「できる限り大きく」と押す強硬派は、減税の恒久化や国防費の大幅増を主張。一方、財政赤字の拡大を警戒する穏健派は同じ共和党内から「規模を縮小しなければ支持できない」と突きつけている。双方の溝は、数日では埋まりそうにない。

米財政赤字への懸念が国債市場を揺らす構図

この攻防は単なる党内政局にとどまらない。米財政赤字がさらに膨らむとなれば、国債の需給に直接響く。投資家が「返済能力」に疑問を持ち始めると、長期金利は上昇圧力を受ける。ドルの基軸通貨としての信認という話にまで波及する可能性があって、市場関係者が静観できない理由はそこにある。

共和党歳出法案の最終形がどうなるかは、来月の期限まで流動的なまま。規模が大幅に削られれば強硬派が反発、削られなければ穏健派が離脱——どちらに転んでも、議席数に余裕のない共和党には厳しい算数が待っている。

この先どうなる

焦点は「今後数日間」のロビー活動と非公式交渉だ。指導部が穏健派を取り込むために歳出規模を圧縮すれば、法案のインパクトは薄れる。逆に強硬派寄りの大型法案のまま押し切れば、穏健派の造反で可決が頓挫するリスクが残る。市場は法案の最終規模と赤字見通しを睨みながら、米国債の扱いを再考し始めるかもしれない。今月末から来月頭の採決スケジュールが、一つの答えを出すことになる。