中国石油備蓄放出——平時なら絶対に触らないとされていた商業備蓄に、北京がついに手をつけた。中東戦争が6週目に突入した今週、Bloombergが関係者の話として報じた内容は、エネルギー市場にとって小さくない警告だった。
北京が「最後の一手前」を使った理由
中国政府が承認したのは、国有精製企業による商業石油備蓄の取り崩し。戦略備蓄ではなく商業備蓄、というのがポイントで、表向きは「企業レベルの在庫調整」に見える。ただ、国が正式に承認したという事実は、市場への圧力がすでに無視できないレベルに達していることを示唆している。
「中国政府は事情に詳しい関係者によれば、中東での6週間にわたる戦争が世界的なエネルギー逼迫を引き起こす中、国有精製企業が石油の商業備蓄を取り崩すことを承認した」(Bloomberg)
ホルムズ海峡周辺のリスクが日量数百万バレルの供給を脅かしているとされる今、世界第2位の原油消費国が動いた。国内の製造業や輸送インフラへの燃料供給を守るための、いわば時間稼ぎ。冷静に見れば、これは中東戦争エネルギー危機が「遠い話」ではなくなったことの裏返しでもある。
備蓄が底をつく前に、市場が先に動く
問題はここからで、この措置がどこまで持つかは誰も言い切れない。中国の商業備蓄はいずれ限界を迎える。そのとき北京がとる選択肢は「国際市場での大規模な原油調達」しかない。世界が注目しているのはまさにこの局面で、中国の買い圧力が加われば、ホルムズ海峡リスクとの相乗効果で原油価格が一段と押し上げられるシナリオはリアルな話として語られている。
つまり今の備蓄放出は「価格を抑える措置」ではなく、「価格上昇の先送り」に近いらしい。市場はすでにそれを織り込み始めているとみられる。
この先どうなる
中東戦争が長期化するほど、中国の商業備蓄は細っていく。Bloombergの報道通りなら、次のフェーズは中国による国際市場への本格参入——つまり原油の買い増しが焦点になる。ホルムズ海峡の情勢次第では、日本を含むアジア全域が輸入コストの上昇圧力にさらされることになる。今は「備蓄放出で乗り切った」に見えても、それはあくまで第一手。第二手がいつ来るか、そこを見ておきたい。