ハザラ人迫害は、タリバン政権下でも止まっていなかった——2025年、その現実を突きつける事件がアフガニスタン西部で起きた。金曜日の午後3時、ヘラート州エンジル地区のデフメリ村近郊。家族連れが休日を過ごす行楽地に、オートバイに乗った武装集団が突然現れ、無差別に銃を乱射した。現地の医師がBBCに語ったところでは、死者は少なくとも12人、負傷者も12人に上るという。犠牲者は全員、ハザラ人のシーア派ムスリムだった。
タリバン発表「7人死亡」、医師は「12人」——なぜ数字がズレるのか
タリバン内務省の報道官はX(旧Twitter)への投稿で、死者7人・負傷者13人と発表した。一方、ヘラート州の情報文化担当官アフマドゥッラー・ムッタキ氏はBBCの取材に「4人の遺体と15人の負傷者がヘラート地域病院に搬送された」と述べており、数字には明らかに混乱がある。
「テロ事件において、武装した男たちがエンジル地区のデフメリ村に娯楽目的で訪れていた住民に発砲した」——タリバン・ヘラート州情報文化担当官アフマドゥッラー・ムッタキ(BBC取材より)
病院の医師が示した数字が最も高く、そして被害者の属性について最も具体的だった。政府発表と現場証言の乖離——アフガニスタン銃撃事件の報道ではよく起きるパターンで、最終的な死者数は今後さらに変わる可能性がある。タリバンは容疑者1人を逮捕したと述べているが、犯行声明を出した組織はまだない。
なぜ「ピクニック中」のハザラ人が狙われ続けるのか
ハザラ人はアフガニスタン総人口の約20%を占めるが、歴史的に最も激しい差別と暴力にさらされてきた民族グループだ。顔立ちが中央アジア系で他の民族と区別されやすく、シーア派ムスリムであることが多数派スンニ派との宗教的対立とも絡む。過去の標的になった場所を並べるだけで、その徹底ぶりがわかる——モスク、学校の試験会場、産科病院、市場、そして今回のような行楽地。日常のあらゆる場面が攻撃対象になってきた。
アフガニスタン銃撃事件でハザラ人が犠牲になるケースの多くは、過激派組織「イスラム国ホラサン州(IS-K)」が関与しているとされてきた。IS-Kはシーア派を「異端」と見なし、繰り返し標的にしてきた組織だ。ただ今回は声明が出ていない。タリバンとIS-Kは対立関係にあるとされるが、ヘラート州テロの現場では「タリバンの治安が機能しているのか」という疑問が改めて浮かぶ。
この先どうなる
タリバンが2021年に政権を掌握してから約4年。「少数民族を守る」という当初の言葉とは裏腹に、ハザラ人迫害の報告は絶えていない。国際社会はアフガニスタンへの関与を大幅に縮小しており、現地の人権状況を監視する外部の目も薄くなっている。今回の事件で犯行声明が出ない場合、捜査の透明性はほぼ担保されないだろう。容疑者1人が逮捕されたというタリバンの発表を検証する手段も、外部にはほとんど残っていない。次の「ピクニック場」が標的になる前に、何かが変わるのかどうか——現時点では、楽観できる材料がどこにも見当たらない。