ICE予算をめぐって、トランプが自ら動いた。相手はリンジー・グラムとジョン・バラッソ——共和党の中でも移民強硬路線に近い重鎮2人だった。単なる意見交換というより、法案化に向けた根回しに見える会談だった。
グラム+バラッソ、この組み合わせが意味するもの
グラムは長年にわたって移民規制強化を訴えてきた議員で、国境問題になると党内でも特に声が大きい。バラッソは上院共和党ナンバー2の院内幹事——つまり予算審議でどう票をまとめるかを仕切れる立場にいる。
この2人が同じテーブルについたということは、「大統領が口で言った」だけでなく、「議会側が動ける体制をつくる」フェーズに入った、ということじゃないか。
「私はリンジー・グラム上院議員とジョン・バラッソ上院議員と会合を持ち、我々の偉大なICE(移民・関税執行局)への資金提供について話し合った」――ドナルド・J・トランプ(Truth Social)
現在のICE予算は約90億ドル規模とされる。拘束施設の運営から国外強制送還のチャーター便まで、ここから賄われている。増額を立法で固めれば、行政の裁量に依存しない「恒久的な執行体制」が出来上がる。
立法化されたら、現場はどう変わるか
予算が法律に明記されると、次の政権がすぐに削れなくなる。これはトランプ政権にとって、選挙後の政策継続を担保する「保険」でもある。
現場レベルでは、ICEの捜査・拘束・送還オペレーションに使える人件費と機材費が増える。移民コミュニティにとってはリスクが跳ね上がる話で、すでに一部の自治体では「協力しない」宣言を出す動きが出ていた。予算が増えれば、その対立もより先鋭化しそうだ。
リンジー・グラムが法案文書の作成に関わり、バラッソが票読みを担えば、年内審議入りも現実味を帯びてくる。今後の立法スケジュールが焦点になりそうだった。
この先どうなる
ICE予算の立法化が実現すれば、強制送還件数の加速は避けられないと見る専門家は多い。一方、民主党が多数を占める州や都市との法的衝突——「聖域都市」をめぐる訴訟——が増える可能性も高い。グラムとバラッソがどんな法案文書を携えて次に現れるか。そこが今後の分岐点になる。