サイード・ハティブザーデーが、水曜日に203人が死亡したレバノン空爆を「重大な停戦違反」と断じた。イラン外務次官がBBCラジオ4に生出演し、米・イラン停戦合意の適用範囲をめぐって米国を直撃する言葉を放ったのは、空爆からわずか数時間後のことだった。

「ケーキを持ちながら食べることはできない」──ハティブザーデーが米国に突きつけた言葉

ハティブザーデー次官がBBCの取材に対し示したのは、ワシントンへの明確な不信感だった。テヘランは水曜深夜、ホワイトハウスに対して「クリスタルクリア」なメッセージを送ったと述べ、その内容をこう要約した。

「停戦を求めておきながら、その適用範囲にレバノンを明記し、そして自国の同盟国が虐殺を始めることを許容するなど、あり得ない」

火曜日に締結された二週間の米・イラン停戦合意。しかしイスラエルはこの枠外だと主張し、ヒズボラの指令センターや軍事拠点と見なした施設への爆撃を続けた。レバノン保健省が確認した死者数は少なくとも203人。ハティブザーデー次官はこれを合意の「重大な違反」と断言し、米国に「戦争か、停戦か」の選択を迫った形だ。

ヒズボラは「違反なし」、翌夜には報復ロケット──レバノン停戦違反をめぐる三者の食い違い

取材でひとつ引っかかったのが、ヒズボラの扱いだ。次官は「ヒズボラは停戦を遵守していた」と擁護したが、ヒズボラ自身は木曜日に「イスラエルの違反への報復」としてロケット攻撃を実施したと認めている。つまりイランはヒズボラの攻撃を「守勢の反撃」と位置づけ、停戦破りとは見なさない立場らしい。

一方でワシントンとテルアビブはそもそもレバノンが合意対象に入っていないと主張している。三者の解釈がこれだけ食い違えば、「停戦合意」という言葉だけが先行して、実態は戦時と変わらない状況が続くことになる。レバノン停戦違反の認定基準が誰にも共有されていない、ということでもある。

この先どうなる

米・イラン間の二週間という期限は、すでにカウントダウンが始まっている。ハティブザーデー次官の発言はBBCを通じた公開圧力でもあり、テヘランが交渉の場ではなくメディアを選んだのは、外交の余地が狭まっているサインとも読める。ヒズボラが「イスラエル・米国の侵略が続く限り攻撃を止めない」と宣言した以上、停戦の形式が維持されても実質的な戦闘は続く可能性が高い。米国がイスラエルへの働きかけを強めるのか、それとも合意の枠組み自体が崩れるのか。次の分岐点は、二週間の期限が切れる前に来るかもしれない。