ホルムズ海峡のエネルギー回復が、「開放即終了」にならないと分かってきた。ニューヨーク・タイムズの報道によれば、海峡が今日この瞬間に開通したとしても、ガス価格が戦前水準に戻るまでには数ヶ月を要するという。思ったより長い、というのが率直な感想だった。
油井は数日、でもインフラ全体は別の話
調べて引っかかったのは「回復速度の非対称性」だ。一部の油井は確かに数日から数週間で再稼働できる。ところがパイプライン、液化設備、タンカーの手配、さらに市場心理まで含めると、話はまったく変わってくる。
「一部の油井は数日から数週間で再稼働できるが、湾岸のエネルギーシステムを正常に近い状態に戻すには数ヶ月を要する」(The New York Times)
LNG(液化天然ガス)は、液化する設備が止まればそれだけで輸出が詰まる。タンカーは世界中に散らばっているし、いったん崩れた調達ルートを再構築するには相応の時間がかかる。単純に「蛇口を開ければ流れる」構造じゃないってことだ。
世界のLNG貿易3割が通る海峡——日本への直撃ルートを追う
世界のLNG貿易の約3割がホルムズ海峡を通過する。この数字を改めて見ると、アジア全体が人質に取られているような状況とも読める。日本にとっては電気代、暖房費、そして食品物価への波及と、生活コスト全般に跳ね返ってくる問題だ。
湾岸ガスインフラの復旧ペースが遅れるほど、LNG価格の長期見通しは上振れしたまま推移しやすい。スポット市場では先物価格が先行して動くため、現物回復を待たずに消費者の負担が増す場面もある。有事は一瞬なのに、回復だけがやたら長い——これが今回あぶり出された構造的なリスクだった。
この先どうなる
仮にホルムズ海峡の緊張が近い将来に緩和されたとしても、LNG価格の長期見通しはしばらく強含みが続くと見ておくのが現実的だろう。湾岸ガスインフラの復旧ペース次第では、年内いっぱい価格の高止まりが続くシナリオもありえる。日本政府がどのタイミングでエネルギー補助策を打ち出すか、あるいは代替調達ルートの確保を急ぐかが次の注目点になりそうだ。回復の足取りが見えてきたとき、初めて「終わった」と言えるのかもしれない。