ホルムズ海峡封鎖があと1ヶ月続いたら、原油価格は2026年を丸ごと100ドル超で走り続ける——そんな試算をゴールドマン・サックスが出した。Bloombergが4月9日に報じたもので、数字のインパクトもさることながら、「1ヶ月」というタイムラインの短さにぞっとした。

世界の原油の5本に1本が通る、たった50kmの水道

ホルムズ海峡は、最も狭い部分で幅約50km。それでも世界の原油輸送量の約20%、LNGに至っては約30%がここを通過する。サウジアラビア、イラク、UAE、クウェート——中東産油国の積み出し港はほぼ全てこの海峡の奥に並んでいる。

つまり代替ルートがほとんどない。サウジには「東西パイプライン」があるものの、輸送能力は限定的で、今すぐ全量を肩代わりできる話じゃない。だから封鎖が長引くほど、価格への圧力は算術的に積み上がっていく。

「ゴールドマン・サックスによれば、ホルムズ海峡の封鎖があと1ヶ月続けば、ブレント原油は2026年を通じて1バレル100ドルを超える水準で推移する見通しだ。」(Bloomberg、2026年4月9日)

現在のブレント原油はその水準を下回っているが、封鎖の継続次第でゴールドマン・サックスの原油予測はあっという間に現実になりかねない。

利下げの扉が閉まる——インフレ再燃シナリオ

原油が100ドルを超えたとき、最初に動くのはガソリンスタンドの価格表だけじゃない。物流コストが上がれば食料品も上がる。電力会社の燃料費が膨らめば電気代も上がる。これが「エネルギー起点のインフレ」で、2022年に世界が体験した痛みの再現に近い。

FRBもECBも日銀も、今は利下げのタイミングを慎重に探っている段階だった。ところがブレント原油 100ドルという数字が現実になれば、インフレ指標がまた上振れし始め、「もう少し様子を見よう」が「やっぱり利下げは無理」に変わる可能性が高い。

金利が高止まりすれば、住宅ローンも企業の設備投資も重くなる。すでにインフレ疲れが続く各国の家計にとって、これは二段構えの打撃になる。調べれば調べるほど、ゴールドマンの試算が単なる悲観論に見えなくなってくる。

この先どうなる

カギを握るのは、外交交渉がホルムズ海峡の緊張を「1ヶ月以内」に緩和できるかどうか。イランをめぐる米国との協議の行方と、イスラエルとの情勢が複雑に絡み合っており、予断を許さない局面が続く。

原油市場は今、「封鎖がいつ終わるか」ではなく「本当に終わるのか」を値踏みし始めている段階らしい。ゴールドマン・サックスの原油予測が外れてくれることを願いつつ、ガソリン代の領収書をじっと見つめる日が続きそうだ。