イランとイスラエルの直接攻撃という、誰もが「まだ先の話」と思っていたシナリオが、2024年4月13日深夜についに現実になった。発射されたのは弾道ミサイル・巡航ミサイル・攻撃型ドローン合わせて300機超。中東の「代理戦争」が、一夜にして国家間の正面衝突へと変わった瞬間だった。
なぜイランは今、動いたのか――ダマスカス領事館空爆から12日間
引き金になったのは4月1日のダマスカス空爆。シリアにあるイラン領事館がイスラエル軍とされる攻撃で破壊され、革命防衛隊の上級司令官7名が死亡した。外交公館への攻撃は国際法上きわめてセンシティブで、イラン側は「報復は義務」と繰り返し表明していた。
ただ、イランが選んだのはいきなりの全面戦争ではなく「示威的な大規模攻撃」というラインだったらしい。攻撃の数時間前にはイラク・トルコ経由で事前通告があったとも報じられており、「やった」という既成事実を作りつつ、エスカレーションを制御しようとした節がある。
「イランは初めてイスラエルへの直接攻撃を実施し、シリアにある領事館への致死的な攻撃への報復として300機以上のドローンとミサイルを発射した」(Reuters)
革命防衛隊 ミサイル 2024の観点で見ると、今回の作戦規模はイランがこれまで代理組織(ヒズボラ・フーシ派など)を通じてきた攻撃とは桁が違う。「直接の手を汚した」ことの政治的コストは、今後ジワジワと効いてくるとみられる。
99%迎撃の裏で着弾した数発――「完璧な防衛」のほころび
イスラエル軍はアメリカ・英国・ヨルダンの協力を得て、発射された300機超のうち99%を撃墜したと発表した。アイアンドームや航空機による迎撃が機能したかたちで、イスラエル当局は「防衛の成功」と位置づけている。
ただ、ネゲブ砂漠の空軍基地には数発の弾道ミサイルが着弾し、少女1人が重傷を負ったとロイターが報じた。「99%迎撃」という数字は確かに驚異的だが、残り1%がゼロではなかったという事実はそのまま残る。ダマスカス領事館 空爆 報復という文脈で言えば、イランは「やり遂げた」と国内向けに説明できる最低限の着弾を確認した、とも読める。
原油市場は開場直後に4%超急騰。ホルムズ海峡封鎖リスクへの警戒から、世界のサプライチェーンに即座に緊張が走った。アメリカの空母打撃群も即時警戒態勢に移行しており、海上の緊張は数日単位では収まりそうにない雰囲気だった。
この先どうなる
焦点はイスラエルの「次の一手」に移っている。ネタニヤフ政権内では強硬な報復を求める声と、G7の圧力を受けた自制論が拮抗しているらしい。アメリカはバイデン政権が「イスラエルへの直接攻撃参加はしない」と明言しつつも、防衛支援は継続する方針を示した。
イランが「示威で終わらせたい」、イスラエルが「無視できない」、アメリカが「拡大させたくない」という三すくみ状態。このまま双方が「これで終わり」と言い聞かせて矛を収めるのか、それとも次の攻撃が引き金を引くのか。少なくとも原油市場と中東駐留の各国軍は、どちらにも転べるよう姿勢を低くしたまま待っている。