「五本柱」体制崩壊か? ベトナムの顔となったトー・ラム氏の台頭

ベトナム国会で、**トー・ラム**公安大臣が国家主席に選ばれたというニュース、皆さんも耳にしたかもしれませんね。驚くべきは、党書記長も兼務する形で、党と国家のトップを一人で握るという異例の事態に発展していることです。500議席ある国会での満場一致の選出という事実もまた、彼の揺るぎない権力を示しているように見えます。

この事態が尋常ではない、と私が最初に感じた点です。彼の**ベトナム権力集中**ぶりが、これまでベトナムが大切にしてきた集団指導体制の常識を大きく覆しているように見えます。これまでベトナム政治の大きな特徴といえば、党書記長、国家主席、首相、国会議長、そして最近では党常務委員という「**五本柱**」と呼ばれる要職がそれぞれ独立し、権力を分散させる集団指導体制でしたよね。

「これによりトー・ラムは、ここ数十年でベトナム最強の指導者となった。」

BBCの報道でも、今回の件で「ここ数十年でベトナム最強の指導者となった」と指摘されています。つまり、ベトナムの政治が大きな転換期を迎えている、ということ。

反腐敗の急先鋒から、権力の頂点へ駆け上がった背景

**トー・ラム**氏がなぜこれほどの権力を掌握できたのか、その背景を探ってみると、彼のこれまでの経歴が深く関わっていることが分かります。彼は過去10年、強力な公安大臣として全国規模の反腐敗運動を主導してきました。

「トー・ラムはこの10年、強力な公安大臣として全国規模の反腐敗運動を主導し、多くの潜在的なライバルを失脚・粛清することで台頭してきた。」

ソース記事にある通り、この動きの中で多くの潜在的なライバルが失脚・粛清された、と報じられているのです。腐敗撲滅という名目のもと、政敵を排除していった彼の政治手腕は、まさに並々ならぬもの。特に2024年に入ってからは、ヴォー・ヴァン・トゥオン前国家主席の辞任や、党の最高指導者だったグエン・フー・チョン書記長の死去といった出来事が立て続けに起こり、**トー・ラム**氏が一時的に両方のトップの座を引き継いでいました。

当初、党大会後も彼が二つの最高位を兼任することには、特に軍内部から反発があったとも報じられています。しかし、最終的にはそれを押し切り、今回の国会での満場一致という形で正式に国家主席の座を固めた、という流れですね。この展開を見ると、彼の権力基盤がいかに強固であるか、またその過程で**五本柱 集団指導体制**というベトナムの伝統的な政治システムが、彼の力によって事実上形骸化した、ということが言えるでしょう。

習近平との比較と、ポスト集団指導時代のベトナム

今回の**トー・ラム**氏の権力集中は、中国の習近平国家主席が権力を集中させた状況と比較する声も上がっています。習近平氏は今年1月、**トー・ラム**氏が党書記長の職を再任した際に真っ先に祝福を送った、という事実も興味深い点です。

「However, To Lam has now secured enough backing to take the two top jobs for the next five years, inviting comparisons with China, where President Xi Jinping has also concentrated power in his hands. Xi congratulated To Lam in January, when he successfully retained his job as secretary general of Vietnam's communist party.」

中国共産党とベトナム共産党の間の親密な関係を考えると、この類似性は決して無視できない要素でしょう。**ベトナム権力集中**が新たな段階に入った今、ベトナム国内の政治はどのように変化していくのでしょうか。独裁色の強化や、特定の政策決定がよりスムーズに進む可能性も考えられます。

そして、もう一つ注目すべきは国際関係、特に東南アジアの地政学バランスへの影響です。ベトナムはアメリカとの関係強化も進めていますが、最高指導者が中国に似た形での権力集中を果たしたことで、今後の外交姿勢にどのような変化が見られるのか、個人的に非常に引っかかっているポイントです。

**トー・ラム**氏がベトナムの舵取りを担う「ポスト集団指導の時代」。この動きがベトナム、そしてASEAN地域にどのような波紋を広げるのか、今後も注視していく必要がありそうです。