イギリスの公共放送BBCが報じているところによると、ロシア産天然ガスをハンガリーへと輸送する「TurkStreamパイプライン」の近くで爆発物が発見され、ハンガリーのヴィクトル・オルバン首相が国家防衛会議を緊急招集するという事態が起きました。ただ、この事件、そのタイミングを巡って様々な憶測が飛び交っているようです。来週に重要な選挙を控えている状況で、オルバン政権が「偽旗作戦」を仕掛けたのではないか、という疑惑が持ち上がっているんです。
TurkStreamパイプライン付近で爆発物発見、緊迫のハンガリー
今回爆発物が発見されたのは、セルビアとハンガリーの国境付近。セルビア軍がトレシュニェヴァツ村(カニジャ地区)付近、ちょうどTurkStreamパイプラインがハンガリーに入る地点から約20kmの場所で、爆発物と起爆装置が詰まったリュックサックを2つ発見したとのこと。
「Our units found an explosive of devastating power」
— Serbian President Alexander Vucic
セルビアのアレクサンダー・ヴチッチ大統領は、発見後すぐにオルバン首相にこの情報を伝達。これを受けてオルバン首相は、異例ともいえる国家防衛会議の緊急招集に踏み切ったわけですね。TurkStream パイプラインは、年間最大80億立方メートルものロシア産天然ガスをハンガリーに供給する、まさに生命線。ここが標的になったとなれば、国家の安全保障に関わる重大事であるのは間違いありません。
選挙直前の「パニック工作」疑惑、野党や専門家が「偽旗作戦」を指摘
ただ、この一連の出来事、そのタイミングがなんとも不自然だと多くの人が感じているようです。というのも、あとわずか7日でハンガリーでは重要な選挙が迫っている状況で、オルバン首相率いる与党フィデス党は、世論調査で野党に大きくリードを許しているんですね。このタイミングでの爆発物発見、そして国家の緊急事態宣言…ここが特に引っかかった点ではないでしょうか。
野党のリーダーであるペーテル・マジャール氏は、この事件を「ロシア人顧問が演出したパニック工作」だと断言しています。
「Opposition leader Peter Magyar accused him of "panic-mongering" orchestrated by "Russian advisers", days after security experts warned of a possible "false flag" operation that could be blamed on Ukraine.」
さらに興味深いのは、ハンガリーのセキュリティ専門家たちが、実は数週間も前から、オルバン政権が「偽旗作戦」を計画する可能性を警告していたという点です。その目的としては、今回の事件を通じて有権者の同情票を集め、フィデス党の勝利に貢献すること、あるいは非常事態を宣言することで投票を延期または中止すること、といった見方がされています。
深まる疑念:TurkStream事件が示唆する地政学的文脈と今後の影響
オルバン首相は、ロシアのプーチン大統領の緊密な盟友として知られ、ウクライナ侵攻後もEUからの要請にもかかわらず、ロシア産エネルギーの輸入を放棄していません。ハンガリーにとってTurkStream パイプラインを通じたガス供給は、経済的にも地政学的にも非常に重要な位置を占めていることが背景にあります。
今回のTurkStream パイプライン付近での爆発物発見は、単なるテロ未遂事件として片付けられる話ではない、というのがNewsRadarJPの分析です。来たるオルバン 選挙において、この事件がどのように作用するかは不透明ですが、「偽旗作戦 ハンガリー」という疑惑が払拭されない限り、オルバン政権への国内外からの批判は避けられないでしょう。今後の調査の行方、そしてそれがハンガリーの政治情勢やEUとの関係にどう影響していくのか、引き続き注視が必要ですね。